理不尽な世の中を斬る!マイケルの物語・復讐編4

 13.開運の王道は、目の前の事から

飲み屋

店主-『はい、どうぞ。』

キャサリン-『ありがとう、ここのおでん美味しいですね。』

店主-『そうかい、そう言ってくれて嬉しいよ。』

キャサリン-『この店、凄い繁盛してますね。』

店主-『でも、忙しいわりには、あんまり儲かってないんですよ。』

キャサリン-『どうしてですか?』

店主-『ほら、この大根なんかは88円だし、ちくわは77円、こんにゃくは66円、たまごにいたっては55円、安いだろ。』

キャサリン-『本当、みんな安いわね。庶民の味方って感じですね。しかも、この大根、超おいしいですね!』

店主-『それにしても、遅いね。』

キャサリン-『バランスさんは、何時に来るって言ってたんですか。』

店主-『今日は仕事が休みだから、7時頃に来るって言ってたんだけどね。』

キャサリン-『じゃあ、そろそろね。』

バランス-『いやあ、お待たせ~!オヤジぃ、今日はフルコースで頼むわ。それと、大根1個サービスしてちょ。ねぇ。』

店主-『今日はなんか、ずいぶんと陽気ですね。』

バランス-『当たり前じゃないですか!久しぶりの満額給料ですよ!しかも、工場長の執拗なイジメに耐えぬいた、血と汗の結晶ですからね。』

キャサリン-『バランスさん、今日はせっかくの休みだったのにすみません。』

バランス-『気にすることないよ。休みの日にここで、こうしておでんを食べるのが、唯一の息抜きみたいなもんだからね。』

キャサリン-『それで、兄のことなんですけど・・・。どうしたら、いいんだろう。』

バランス-『それにしても、なんか怪しい感じがするよね。』

キャサリン-『バランスさんは、兄を疑っているの!』

バランス-『いや、そうじゃないよ。マイケルが犯人じゃないとすると、誰か他の人が突き飛ばしたことになるね。それじゃあ、誰が何のためにそんなことをしたのだろうか。』

キャサリン-『私にもわからないわ。兄のことだから、誰かとケンカして恨みを持たれてしまったということもありえるけど・・・。』

バランス-『でも、マイケルはやってないのだから、必ずそのうち疑いは晴れるだろう。』

キャサリン-『でも、バランスさん。兄が突き飛ばしたのを見た人がいるっていうのよ。それも一人じゃなくて、何人もいるんだって。』

バランス-『目撃者がいるのか・・・。』

キャサリン-『しかも、高校生や主婦やサラリーマンなど、なんの脈絡もない人達が目撃者なの。』

バランス-『という事は、常識的に考えれば、マイケルがやったとしか考えられないな。』

キャサリン-『いえ、兄は絶対にそんなことをする人じゃないです!』

バランス-『私もそれは信じているよ。しかし、仮にマイケルが犯人じゃないとすると、これはとんでもない奴を相手にしている可能性があるね。』

キャサリン-『・・・というと?』

バランス-『何人もの目撃者に証言をさせて、マイケルを完全に犯人に仕立てようとしているくらいだから、相手はよっぼと頭の切れる奴か、それともよっぽど影響力のある大物なんだろうな。どちらにしても、これは相当覚悟しておかなければならないかもな。』

キャサリン-『どうして、そんな危ない人と関わりを持ってしまったんだろう。』

バランス-『理由はわからないけど、何らかの災難に巻き込まれたのかもしれないね。ところで、マイケルに突き飛ばされた人は、大丈夫だったの?』

キャサリン-『ええ、一度お見舞いに行ったんだけど、会わせてくれなかったわ。』

バランス-『じゃあ、とりあえずは、少し動いて情報を集めるしかないか・・・。』

キャサリン-『真犯人は見つかるかしら。』

バランス-『ああ、きっと見つかるはずだよ。まずは、情報を集めるために、体を動かして汗をかかないことには、運も発生しないしね。』

キャサリン-『へえ~、やっぱり思考だけじゃなく、行動も大事なんですね。』

バランス-『動かないことには、風も吹かないからね。風が吹けば、必ず何らかの動きが出てくる。もちろん、良い風か悪い風かは、わからない。しかし、相手が悪い事をしているのなら、必ず運はこっちに来るはずだよ。』

キャサリン-『どんな大物でも大丈夫?』

バランス-『ああ、大物でも小物でも、どっちでも構わない。とりあえず、今できることをやるだけさ。今できる目の前のことを一つずつ積み重ねていくだけさ。』

キャサリン-『意外と地道な作戦なんですね。』

バランス-『地道というよりは、開運の王道だよ。人は皆、結果ばかり急ぐから、どうしても基本を抜いてしまうね。でも、それが一番危険なんだ。土壇場で逆転されたり、ひっくり返されたりすることが多くなるからね。』

キャサリン-『じゃあ、なんとか突破口は見つかりそうてすね。』

バランス-『ああ、動けば必ず反応するものさ。それが自然の法則だから。もちろん、良い方に反応するよう動くけどね。』

キャサリン-『良い方に反応させるためには、どうしたらいいんですか?』

バランス

『必ず自分をマイナスにしておくことだね。そうすれば、必ずプラスは引き寄せられる。』

14.バランス危うし

工場

バランス-『この間、人が突き飛ばされて車にはねられた事故あったでしょ。』

工員A-『ひどい奴がいるもんですね!話によると、なんだかパチンコで負けてそのウサ晴らしに人を突き飛ばしたとか・・・。しかも、車が目の前を通る直前に人を突き飛ばすなんて、最低な奴だよな、全く。』

バランス-『でも、犯人は別にいるらしいですよ。』

工員A-『そんな事ないですよ。だって、目撃者もいっぱいいることだし。どうして、犯人が別にいると思うんですか?』

バランス-『あぁ、いやべつにね。その犯人のことなんだけどね、昔の知り合いでね。そんな悪い事をするような人じゃなかったものでね。だから、犯人は他にいるんじゃないかと思っただけですよ。』

工場長-『こらぁ、手を休めるな!ボケェ!』

バランス-『あ、すみません。』

工場長-『お前、今、この間の事故の話をしてただろ。』

バランス-『あ、はい。』

工場長-『犯人が他にいるかもしれないだと?どうして、そんな事知りたがる?』

バランス-『いや、べつに。ちょっと気になったものですから。』

工場長-『ふ~ん、まあいいわ。二人とも手を休めないで働け!』

バランス-『はい。』

工員A-『はい。』

工場の外

工場長-『もしもし、社長ですか。』

A少年の父親-『ああお前か。どうだ新しい職場は?』

工場長-『ええ、有難うございます。売上は低迷してますが、なんとか頑張ってやっております。今日は大事な話をお耳に入れておきたいと思いまして。』

A少年の父親-『何だ?』

工場長-『実はですね、この間の事故の件を嗅ぎまわっている奴がいるんですよ。』

A少年の父親-『誰だ?誰なんだ!!警察か?』

工場長-『いえ警察じゃないです。うちの工場で働いている奴ですよ。』

A少年の父親-『そうか、じゃあ、殺っちまえ!』

工場長-『なにも、そこまでしなくても。相手は普通のただのオヤジですよ。』

A少年の父親-『いや相手が誰であろうと、用心しないとな。』

工場長-『さすが、大手商社の社長まで上りつめた人物ですね。』

A少年の父親-『当たり前だ、ブゥオホォホォ!じゃあ、その男、もう働けない体にしてしまえ!わかったな!』

工場長-『はい、わかりました。』

翌日-公園

バランス-『久しぶりだね、ジョン。元気でやってたかい?』

ジョン-『うん、元気だったよ。最近、仕事忙しいみたいだね』

バランス-『いやそんな事はないよ。ただ、ほら、あの事故のことを調べているから、忙しいんだ。』

ジョン-『あの人は犯人じゃないと思うよ。僕にいろいろと「魔法使いの話」「宝捜し」の話をしてくれて、とても親切だったもの。』

バランス-『それじゃあ、「宝捜し」の話をしてくれたのは、その事故の犯人にされている人なんだね。』

ジョン-『そうだよ。』

バランス-『そうかぁ、マイケルだったのか。そんな変わった話をするのは、私とマイケルくらいだからなあ。』

ジョン-『あっ、そういえばね。僕をいつも苛めていた5人組がいたでしょ。そのうちのリーダー格が変なことを言ってたんだよ。』

バランス-『どんな事を言ってたんだい?』

ジョン-『あのね、お兄さんは刑務所から出て来れないぞ!って言ってたんだ。』

バランス-『どうして、その少年はそんなことを知っているのだろうか?』

ジョン-『僕にもよくわかんないけど。でもそいつのお父さんは、凄いお金持ちで大きな会社の社長をしているみたいだよ。』

バランス-『そろそろ、また仕事に行かなきゃ。』

ジョン-『もう行っちゃうの?』

バランス-『うん、もう行かないとね。』

ジョン-『あそこのベンチに座っている二人が、ずっとオジサンの方を見ているけど。知り合いなの?』

バランス-『あんな品のない奴らは、知らないね。』

ジョン-『そういえば、お兄さんが来なくなる直前にも、あの二人組の男の人がベンチにいたんだよ。あの時も、ジロジロお兄さんのこと見てたっけ。なんか、嫌な感じがするな・・・。』

バランス-『それじゃあ、またね。』

・・・・・

男A-『兄貴、どうします?』

男B-『そうだな、とりあえずは道を尋ねるフリをして、やっちまおうか。チャリンコで追いかけよう。』

・・・・・

男B-『あの~、○○工場へ行くにはどうしたらいいんでしょうか?』

バランス-『○○工場ですか?そこのほら、田んぼの向こう側にある大きな建物が○○工場ですよ。』

男B-『あっ、そう。よし、やれ!』

男A-『おりゃあああ!!!ボコボコにしてやるわい!』

バランス-『なんだ、お前たちは!いきなり殴りかかってきやがって・・・。ウッ・・・。』

男B-『もっと、やれ!!』

バランス-『お前たち、あの事故の件にも関わっているんじゃないのか・・・。』

男A-『うるせんだよ!口が聞けないように、ボコボコにしてやるわい。おまけに、歩けないように、足の骨も何本か折ってやるわい!』

バランス-『やめろーーーー!骨が砕けるぅ~・・・。』

男A-『あっ、やばい。後ろから人が来た。』

男B-『ちぇ!しょうがねぇな、逃げるぞ!』

15.復讐の誓い

病院

看護婦-『よく眠れましたか?』

バランス-『ここは何処ですか?』

看護婦-『見ればわかるでしょ。病院ですよ!足の骨は折れてるし、顔の傷は7針縫ったし、腕から足首まで傷だらけですよ。警察にはまだ連絡してないけど、被害届出します?』

バランス-『あっ、いや。痛ててててぇ。足も腕も顔も、体のあちこちが激痛で耐えられないや!被害届けはちょっと考えさせてくれますか?』

看護婦-『あ、そう。じゃあ、何かあったら呼んでください。』

・・・・・

おでん屋の店主-『大丈夫ですか?こりゃまた、凄い傷ですな。また随分と派手にケンカしたものですね。』

バランス-『ケンカじゃないよ。一方的に殴られて、気がついたら病院のベッドさ、もう体のあちこちが痛くてしょうがないよ。』

おでん屋の店主-『でも、どうしてこんな目に合ったんですか?』

バランス-『私にもよくわからないな・・・。』

おでん屋の店主-『それで、あの事件の真相、少しでも何か情報がつかめましたか。』

バランス-『いや、まだ何も情報らしい情報は入ってこないな。』

おでん屋の店主-『そうですかぁ。じゃあ、お大事にして下さいね、私はこれからおでんの仕込みをしなきゃならないから帰らないと。』

バランス-『ああ、有難う。』

隣りの患者-『また随分と、派手にやられたもんですな。』

バランス-『ええ。』

隣りの患者-『警察に被害届け出したんですか?』

バランス-『いえ。』

隣りの患者-『そうですか、まあお大事にね。私は明日退院なんでね。でも仕事が忙しいから、明日から直ぐに仕事ですよ。』

バランス-『へぇ~、この不景気なのに、仕事が忙しいなんて羨ましい話じゃありませんか。』

隣りの患者-『そんな事ないですよ。私は国選弁護人ですから、忙しくても給料は安いですからね。ほら、目の前に警察署があるでしょ。明日、そこに行って接見してくるんですよ。』

バランス-『へえ~、目の前に警察署があるんですか・・・。実は私も、接見したいと思ってるんですが。』

隣りの患者-『あなたが?』

バランス-『ええ、実は無実の罪で警察に連れて行かれた人がいるんですよ。でも、接見禁止みたいで、誰も会わせてくれないみたいなんですよ。』

隣りの患者-『あっ、そう。じゃあ、懇意にしている警察官がいるから、私から頼んであげますよ。そのかわり、タダというわけにはいきませんがね。』

バランス-『あんた、弁護士なのに、情けないね。そんなせこいことしてたら、いつまで経っても出世しないよ。』

隣りの患者-『もう、出世なんてあきらめてますから。じゃあ、OKが出たらここに迎えに来ますから。』

バランス-『じゃあ、頼みます。』

・・・・・

バランス-『(それにしても、何であんな所でいきなり襲われたんだろうか・・・。やっぱりマイケルの件と何か関連があるのかもしれないな。もし、そうだったら、これは随分と危ないところに足を踏み込んでしまったかもしれないな・・・。でも、キャサリンとも約束したし、後戻りはできないな・・・。)』

隣りの患者-『やあ、どうですか。少しは痛みはなくなりましたか。』

バランス-『ああ、ちょっとはましになったよ。』

隣りの患者-『そうですか、じゃあ行きましょうか。OKもらってますから。』

・・・・・

マイケル-『バランスさ~~~ん!』

バランス-『やあ、マイケル、久しぶりだね。こんな所で会うのもなんだけど、元気だったかい?』

マイケル-『まさか、バランスさんが来てくれるなんて夢のようです。』

バランス-『なんだ、泣いてるのかい?マイケルらしくないな。』

マイケル-『悲しくて泣いてるんじゃないですよ。嬉しくて泣いてるんです!』

バランス-『それにしても、今回は大変だったね。犯人にされたみたいで。』

マイケル-『そうなんですよ!俺は何もしてないのに、こんなブタ箱に入れられて、犯人扱いされて・・・。もう、死にたいくらいですよ!』

バランス-『私もマイケルのことは信じてるよ。でも、背後には不気味な存在がチラホラして、ちょっと危ない気がするね。』

マイケル-『そういえば、バランスさん・・・体、傷だらけですね。』

バランス-『ああ、どうやらマイケルの件と関係がありそうだね。』

マイケル-『じゃあ、俺の為に色々調べてくれたんですね!』

バランス-『ああ、でも今は足も不自由だし、ちょっと活動は制限されそうだけどね。』

マイケル-『バランスさん、俺のためにそんな事しなくてもいいですよ。これ以上動いたら、危ないですよ。俺、小学生にハメられたみいだし。』

バランス-『小学生?』

マイケル-『事件現場で小学生が俺の顔を見て、ニヤニヤして笑ってたんだ。その小学生っていうのは、他の小学生を5人がかりで苛めてた奴でさ。俺、その小学生をたしなめただけなんだ・・・。でも、バランスさんにそこまで危害を加えようとしているんだから、相手はかなりヤバイ相手だって想像つきますよ。だから、バランスさん、手を引いてください。』

バランス-『はあ?手を引く?』

マイケル-『そうですよ。俺の為に動いてくれたということを知っただけで、俺はもう満足ですよ。』

バランス-『バカじゃないのか!マイケル!これからなんだよ!』

マイケル-『これから?』

バランス-『そうだよ、これから面白いストーリーが展開するんじゃないのかい。私の体を見てご覧よ。体は傷だらけで、私の心は怒りの炎で今にも爆発寸前だよ。』

マイケル-『・・・。』

バランス-『まだわからないのかい?心の中が怒りでいっぱいの時に、プラス思考したらどうなる?』

マイケル-『・・・。』

バランス-『奇跡が起きるだろ!』

マイケル-『やっぱり凄いや!バランスさんはこんな時でもプラス思考するんですね。俺、なんだか物凄く勇気が湧いてきました。』

バランス-『悪人をのさばらしておくほど、私の心は大きくないからね。悪人を退治して、復讐してやるさ。』

マイケル-『なんだか、楽しくなってきましたね。』

16.感情を操れる人になる

バランス-『元気だったかい?』

ジョン-『うん、元気だったよ。でも、どうしちゃったの?オジサンの顔、傷だらけだよ。』

バランス-『この間、この公園でジョンとお話しただろ。あの帰りに、何者かに襲われたんだ。』

ジョン-『どうして、襲われちゃったの?』

バランス-『私にも理由はわからないんだけどね。』

ジョン-『もしかしたら、この間あそこのベンチに座っていた二人組みの男達のしわざかも。だってね、あのお兄さんも、その二人組みが現れた日に、犯人扱いされたんだよ。』

バランス-『そうかもしれないね。実は昨日、ジョンがお兄さんって呼んでいたマイケルに会ったんだよ。』

ジョン-『え?あのお兄さんに会ったの?いいな~、僕も会いたかったな~。』

バランス-『大丈夫だよ、また近いうちに会えるよ。』

ジョン-『本当?楽しみだな。』

バランス-『ところでさ、ジョンを苛めている主犯格のリーダーがいるだろ?その子の住所、知ってるかい?』

ジョン-『知ってるよ。○○町に住んでるんだけど、家の前に○○スーパーがあってね、凄いりっぱな家なんだ。羨ましいな~、僕もあんなりっぱな家に住んでみたいな。きっと、自分の部屋なんかもあるんだろうな。僕の部屋なんか、兄弟みんなで寝てるから、朝起きたら弟の足が顔の上にのっていて窒息しそうになる時があるもんな・・・。』

バランス-『ハハハッ、それは大変だね。でもそのうち、それもいい思い出になるよ、きっと。』

ジョン-『だといいんだけど。』

バランス-『そろそろ行かないと。』

ジョン-『ええ、もう行っちゃうの?』

バランス-『うん、いろいろ調べ事もあるしね。』

ジョン-『一つ質問があるんだけど。』

バランス-『なんだい?』

ジョン-『その真犯人なんだけど、オジサンだったらその「魔法」を使って簡単に捕まえることができるんでしょ。』

バランス-『簡単に捕まえるっていうわけにはいかないさ。ジョンを苛めているリーダー格の少年のお父さんがもし、犯人だったとしても、実際に人を突き飛ばしたのは、違う人だろうしね。』

ジョン-『大人の世界って、複雑だね?それに、悪い人ばかりがいるんなら、やっぱり子供のままでいいやって考えちゃうな。でも、今は同級生に苛められてるんだから、同じことか・・・。』

バランス-『「魔法」っていうのは、一瞬にして現実を変えたりすることはできるけど、でもそれを可能にするには燃料が必要なんだ。』

ジョン-『燃料ってな~に?』

バランス-『知りたいかい?』

ジョン-『うん、知りたいよ。』

バランス-『感情さ。』

ジョン-『感情ってな~に?』

バランス-『感情っていうのは、怒ったり悲しんだり憎んだり喜んだりすることさ。』

ジョン-『その感情っていうのが、燃料になるの?』

バランス-『そうだよ。人間はロボットじゃないからね。現実の世界で起こった出来事に対して、いろいろと感じることができるんだ。』

ジョン-『じゃあ、学校で習ってるのは、何なの?』

バランス-『学校で教えているのは知識さ。でも、集団で学ぶことによって、人とのコミュニケーションも自然と学んでいることになるけどね。』

ジョン-『学校では感情って教えてくれないんだね。』

バランス-『残念だけどね。でね、感情っていうのは、目には見えないけど、凄い力を発揮するんだ。無意識のうちにジョンを操っているんだよ。』

ジョン-『え?僕はその感情という名前の奴に、操られているの?ねえ、その感情っていうのは、何処にいるの?』

バランス-『ジョンの頭の中さ。』

ジョン-『僕の頭の中にあるの?そいつは、僕をどうやって操っているの?』

バランス-『無意識のうちに操っているからね、なかなかその存在に気づいている人は少ないね。』

ジョン-『・・・。』

バランス-『例えば、ジョンは家に帰ってきてから、宿題をすることがあるだろ。』

ジョン-『うん、とっても憂鬱だけどね。』

バランス-『でもね、よく考えてごらん。いつも、同じような気持ちで宿題ができるわけじゃないだろ。「今日は勉強がはかどるな」とか「今日は全然やる気がしないや」とか、その日によって気持ちに波があるだろ。』

ジョン-『そうそう、僕も前から不思議だったんだ。今日は凄い勉強が面白いやって思ったら、次の日には全くやる気が起きなかったり・・・。』

バランス-『それが感情の仕業さ。人をやる気にさせたり、無気力にさせたりすることもできる。だから、この感情に操られるのではなく、逆に自分が感情をコントロールできるようにしてあげるのさ。そうすれば、目に見えない摩訶不思議な感情に人生を操作されることはないからね。』

ジョン-『じゃあ、その感情を操ることができるようになると、ずっとずっと勉強をやっていても、疲れたり投げ出したりすることがなくなるの?』

バランス-『その通りさ。』

ジョン-『それは、凄いや!まるでスーパーマンだね!!!なんだかワクワクしてきちゃったな。魔法使いって、スーパーマンにもなれるんだね。』

バランス-『そろそろ、行かなきゃ。』

つづきは「理不尽な世の中を斬る!マイケルの物語・復讐編5」

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      2023/02/21

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