お金持ちの思考 マイケルの物語・ホームレス編3

9.他人の思考も利用することができる?

ボブ-『ひっさし振りだな~、マイケル!』

マイケル-『・・・・・。』

ジャック-『何を言ってるんだよ、ボブ!こいつは浮浪者じゃないか。』

ボブ-『よく見ろよ・・・、こいつの首には大きなホクロがあるぜ。』

ジャック-『あっ、ほんとだ。言われてみればこいつマイケルにそっくりだ。』

ボブ-『どうしたんだ、その格好は?凄くお似合いだぜ!』

ジャック-『毎日ゴミでも漁ってるんじゃないか~、汚ね~から近寄るなよ!』

マイケル-『お前らが勝手に近寄ってきたんだろう。』

ボブ-『なんだと~、俺達にケンカを売ってるのか!謝れよ、マイケル!【ボブさん、ジャックさん、申し訳ございませんでした】って言えよ!』

マイケル-『ふざけるな!』

ボブ-『よくそんな口を聞けたもんだな。俺の女がどうなったのか知ってるのか?お前が階段から突き落としたおかげで、未だに車椅子で生活しているんだぞ!』

マイケル-『あの時は、課長に用事を頼まれ、急いで走ったら、ついぶつかってしまったんだ。決してわざとじゃないんだ!』

ボブ-『いいわけなんかは聞きたくないよ!お前は病院へ謝りにきたことがあるのか?』

マイケル-『一度行ったじゃないか。』

ジャック-『悪いと思ったら何回もお見舞いに来るのが常識じゃないのか!誠意が足りないんだよ、バーカ!』

ボブ-『ここで謝ったら、今までの事は全て水に流してやるよ!』

マイケル-『悪かった・・・、ごめん。』

ボブ-『俺はな、善人だから、貧しい人を見るとつい助けたくなるんだ。ほらっ・・・、これで何か美味いもんでも食えよ!』

ジャック-『さあ、拾えよ!早く拾わないと風に飛ばされてしまうゾ!』

ボブ-『千円拾って、【ボブ様、有難うございました!】って言えば、許してやるよ!』

ジャック-『早く拾えよ!』

ボブ-『それとも彼女の足を治してくれるのか!俺の彼女に悪いと思ったら、千円拾うのくらいはどうってことないだろう!』

マイケル-『・・・あ・り・が・とうございます。』

ボブ-『ん?今何か言ったのか?・・・声が小さくて聞こえなかったゾ!』

マイケル-『ありがとうございます!』

ボブ-『ギャーハッハッハッ!!こいつ、本当に【ありがとうございます】って言ったぜ!プライドも何もなくなったら終わりだな!』

ジャック-『ほんとう、最低~だな。グァーハッハッハッ!!』

ボブ-『帰ろうぜ、ジャック。』

マイケル-『・・・(くっそ~、悔しいけどケンカはやめよう。)』

ボブ-『いや~、最高にいい気分だな。明日もからかいに来ようぜ!』

ジャック-『明日だけじゃなく、毎日来ようぜ!』

ボブ-『しかし、マイケルは最高にバッカな奴だな。俺の彼女はとっくの昔に足は治って、今はピンピンしてるってーのによ。』

マイケル-『なんだとー!!ゴラァァ、待てー!!!』

・・・・・

バランス-『どうしたんだよ、マイケル!凄い傷じゃないか!病院に行って手当てをしないと・・・。』

マイケル-『大丈夫ですよ・・・、グキ・・・、グキグキ痛てて。』

バランス-『また派手にケンカしたものだね。まさか、また食い逃げをして。』

マイケル-『バランスさん、俺はもうそんな事はしませんよ。今日は前に務めていた会社の同僚とバッタリ会ってしまって・・・。昔、俺の不注意でその同僚の彼女にケガをさせてしまったんです。それからですよ、俺の人生が狂いだしたのは・・・。それ以降、他人にケガを負わせた俺が人生を楽しむのは、悪い事だっていう意識が常に心の奥底にあるんです。人を傷つけたらそれを一生背負わないとダメなんですか。』

バランス-『そんなことはないよ。相手にきちっと謝罪して、一日も早くケガが治りますようにって願えばいいんだよ。』

マイケル-『・・・ん~?』

バランス-『どうしたんだね。』

マイケル-『今、フッと疑問に思ったことなんですけど・・・、質問していいですか?』

バランス-『いいよ、何だね?』

マイケル-『ケガが治りますように!っていうのは、ケガが治って欲しい!って思うのと同じ事ですよね。』

バランス-『そうだね。』

マイケル-『バランスさんは前に、【・・・が欲しい】って思ったらダメだと言いましたよね。だから【ケガが治って欲しい!】って思うのもダメなんじゃないですか!』

バランス-『いい所に気がついたね!【・・・が欲しい】っていうのは、自分の為ではなく、相手のことを思ってする場合は別に構わないんだよ。プラス思考の基本は何だったか、マイケルは覚えているかな?』

マイケル-『え~と、たしかプラス思考の基本は相手の事を思って喜ぶ・・・、でしたよね。そっか~、じゃあ【ケガが治って欲しい!】って考えるのは良い事なんですね。』

バランス-『ついでだから、もう一つ面白い事を教えてあげるよ。思考を現実化させる為にはね、他人の思考も利用することができるんだよ。』

マイケル-『え?他人の思考?だって自分の思考はコントロールすることができたとしても、他人の思考はコントロールすることができないですよね。』

バランス-『他人の思考を利用して、自分の望みを叶えるっていうのは、今までに説明したことがなかったね。マイケルはサッカーを見るのは好きかな?』

マイケル-『見るのは、ワールドカップの時くらいですね。』

バランス-『1998年に優勝した国は覚えているかな?』

マイケル-『たしかフランスだったように思います。』

バランス-『フランスはその時に初めて、ワールドカップで優勝した。その時の開催国は何処だったと思う?』

マイケル-『わからないですね。』

バランス-『フランスだよ。あの有名なベッカム選手がいるイングランドもワールドカップで1回優勝しているんだよ。その時の開催国はどこだと思う?』

マイケル-『もしかしてイングランド?』

バランス-『その通りだよ。私が何を言いたいかわかるかい?自分の国で試合ができるっていうのは、慣れた環境だから有利という以外に国民の強い願いがあるからだよ。同じレベル位の国同士が試合をした場合、運の強い国が勝つということだよ。すなわち”他人の強い願い”があるかどうかで決まってしまうという事だよ。それをビジネスや人生のいろんな場面で、どのように応用するかはその時になったら、また話をしよう。今のマイケルと私にはまだ必要がないけど、そのうち”他人の思考”を利用する時が必ず来るよ。』

マイケル-『ん~、奥が深いな~。』

バランス-『マイケル、明日は仕事を休んだ方がいいよ。その体じゃ無理だろう。』

マイケル-『バランスさん、俺はもう”いいわけ”はしないよ。それに何がなんでもあいつらを見返してやりたいんだ!絶対にお金持ちになってやる!!”見返してやる!”という気持ちを持つとバランスさんに怒られるかもしれないけど、でも今はもうあいつらに対して物凄い感謝をしているんだ・・・、だって今の俺に、完全にやる気を起こさせてくれたのだから。』

バランス-『先が楽しみだね。』

・・・・・

マスター-『なんだよ、またマイケルは遅刻か!おい、バランス起こしてこい!』

バランス-『ハイ、わかりました(先が思いやられるな、こりゃ・・・)』

10.パラダイスへの扉は開かれた?

バランス-『さてと・・・、ここの喫茶店で働いてもう2ヶ月が経つね。マイケルの所持金はいくらになったかな?』

マイケル-『え~とですね~、320円です。バランスさんはいくらあるんですか?』

バランス-『私はね、4800円あるよ。』

マイケル-『お~凄い!(羨望の眼差し)』

バランス-『今は日給が1000円だろう。そしてこの間から自炊を始めて食費を1日600円に抑えているね。という事は残りが1日400円になるわけだ。1ヶ月25日働いたとしても1万円しか貯金ができないね。1年間では12万円になるけど、目標の50万円には全然足りないね。』

マイケル-『じゃあ、どうしましょうか?ビジネスでも始めましょうか。』

バランス-『そうだね、最短コースを進もうか。』

マイケル-『最短コース???バランスさんは前に、長期的視野に立って物事を考えようって言いませんでした?』

バランス-『私がいいたいのは、運のいい人にはお金持ちになる為の近道が用意されているということだよ。』

マイケル-『へぇ~、そうだったんですか。じゃあ早く教えて、教えて!』

バランス-『簡単だよ!楽しい事、ワクワクする事をやればいいのさ!』

マイケル-『それだけ?』

バランス-『ん、それだけ。』

マイケル-『え~、もっと詳しく教えて下さいよ、いじわる~!』

バランス-『近道に進む為のアイデアや考えは、既に頭の中にあるということだよ。』

マイケル-『ふんふん・・・、それで?』

バランス-『そのアイデアや考えを取り出した時に、ワクワクする感情があれば、最短コースに進む為の切符を手に入れたことになるのさ。』

マイケル-『ふむ~・・・(今回はちと難しいな)』

バランス-『でもね、その切符はなかなか見つけることができないんだよ。何故だかわかるかい?』

マイケル-『何故ですか?』

バランス-『潜在意識を雲で覆っているからだよ。』

マイケル-『セ、センザイイシキを?雲で?覆っている?(ますます不可解になってきたな~)』

バランス

『潜在意識っていうのは簡単に言えば無意識のことだよ。人が何かを体験して、その体験したことに対して感じた事、考えた事が全て無意識に蓄積されていくんだよ。』

マイケル-『潜在意識って聞いたことはあるんだけど・・・、今いち意味がわからないんだよな~。』

バランス-『とりあえず、潜在意識の中には、今私達が望んでいる近道へ進む為の切符があるということだけ覚えておけばいいよ。運を発生させるのも潜在意識を刺激するのも全く同じことだからね。私は潜在意識の事を別な呼び名で呼んでいるけどね。』

マイケル-『ふむ~・・・。』

バランス-『そしてその切符を手に入れる為には、雲を取り払わなければならないんだ。雲っていうのは簡単に言えば、その人の感情だよ。怒り、悲しみ、悔やみ、恨み、恐れ、不安などの、マイナス感情という雲で覆っている人は、潜在意識の中にある成功の切符を見つけることはできないんだよ。マイナス感情の雲は潜在意識の中にマイナスの雨という感情を染み込ませてしまうんだ。プラスの感情で潜在意識を包み込めば、太陽の日が射して、簡単に切符を見つけることができるよ。』

マイケル-『ふむ~・・・』

バランス-『お金持ちになりたいという思考を現実化させる為には、【既に自分はお金持ちである】と思えって前に言ったね。でも潜在意識の扉が閉じたままで、いくら願っても思い込んでも、全く効果がないんだよ。マイケルはもうその扉を開けたことになるんだ。これから私達にはいろいろな困難や壁が立ちはだかるだろう。でもマイケルはもうそこから逃げようとは考えないよね。そしていいわけをすることもしないだろう。そして楽をしたいなんて事も考えないだろう。逃げる、いいわけ、楽をしたい(何もしたくない)っていうのは、全てマイナス思考になるんだ。』

マイケル-『確かに今の自分は、何か問題が起きてもそこから逃げようなんて思わないし、いいけわをしようとも思わないし、楽をしようなんて事も思わなくなりました。』

バランス-『いいかい、マイケルはもう既に運を味方につけたことになるんだ。風向きが変わったんだよ!今は追い風が吹いている状態だから、それをこれからどんどん強風に変えていくんだ。』

マイケル-『もしかして考え方を変えるだけで、成功する為の扉は開かれた?』

バランス-『その通りだ!

扉は開かれたんだよ、マイケル。』

マイケル-『潜在意識の扉って・・・、もしかして、パ・ラ・ダ・イ・スへの扉ですか?』

バランス-『そうだよ、あとは真っ直ぐ前に突き進むだけでいいんだ。』

マスター-『おい!昼休みはとっとくの間に過ぎたぞ!!い~つまでしゃべってやんだ!パラダイスだのトビラだのセンザイイシキだのわけのわからんことばかり言いやがって!1度病院に行って、ゆっくり診てもらった方がよさそうだな。それと、おいマイケル、たばこ買って来い!』

マイケル-『はいよ!』

・・・・・

マスター-『おっ早かったな・・・、ご苦労。・・・おいマイケル、誰がマイルドセブンを買ってこいて言ったんだ。俺はセブンスターを吸ってるんだぞ!』

マイケル-『え~、嘘?』

マスター-『ほんとうだ、もう1回行って来い!!バカヤロー!』

自動販売機の前

マイケル-『あ、あれ~・・・セブンスターが売れ切れてる~。そんなバカな~。ついてないな~。しょうがない、駅前のコンビニまで行って買ってくるか・・・トホホ。ちょっと待てよ・・・、俺は既にパラダイスの扉を開けたんだから、ついてない事が起こるわけがないよな。

よし、いつもの思考パターンを変えよう!

きっと駅前のコンビニに行くまでの間に、千円札が落ちているに違いない(そうだ、そうに決まっている)!いやいや、万札って事もあり得るぞ(こっちの方がいいぞ)!ひょっとしてもう誰かが拾っているかもしれないな(よし!急いで歩こう・・・)』

・・・・・

コンビニの店員-『セブンスターは売り切れです。』

マイケル-『う、売り切れ!?そんなバカな・・・。』

・・・・・

マイケル-『あ~あ、疲れた・・・。きっとバランスさんなら、【運を発生させるチャンスじゃないか!!】って言うだろうな。とりあえずここでコーヒーでも飲んで休憩しようか・・・。バランスさんは、マイナスの状況の時には必ず”感謝”しろって言ってたよな。売り切れありがとう・・・か。・・・あそこにもたばこの自動販売機があるみたいだな。その横には宝くじ売り場か・・・宝くじか・・・。ひょ、ひょっとして、ひょっとするかも!やった~、一気に億万長者だ~!!!』

宝くじ売り場の人-『何枚にしますか?』

マイケル-『1枚いくら?』

宝くじ売り場の人-『200円になります。』

マイケル-『200円!!?(高いな~)よし全財産だ!』

宝くじ売り場の人-『ぜ、全財産!?それで、何枚にしますか?』

マイケル-『1枚だ!どうだい?びっくりだろう?運のいい人は1枚で充分なのさ!(これで億万長者なのだ~、バランスさんお先に失礼!!ヤッホー!!!)』

11.苦労しなくても成功できる?

バランス-『何をやってるんだね。』

マイケル-『宝くじが当たってるかどうか調べてるんですよ。』

バランス-『へぇ~、宝くじね~。』

マイケル-『今、億万長者が誕生する瞬間ですよ。バランスさんはそれを目の当たりにできるんですから、幸せ者ですね。』

バランス-『ハイハイ、それで当たっているのかい?』

マイケル-『ん~残念!1等はハズレだ(ん~こんなはずじゃなかったのに!)』

バランス-『そりゃあ残念だ・・・で2等はどうなんだい?』

マイケル-『に、2等もハズレか・・・(あ~億万長者の夢が遠のく~!)』

バランス-『そりゃあ残念だね・・・で3等はどうなんだい?』

マイケル-『さ、3等もハズレか・・・(悔しい、トホホ)』

バランス-『そりゃあ残念だね・・・で4等はどうなんだい?』

マイケル-『よ、4等もハズレ・・・じゃない、あ、当たってる!1万円が当たってる!』

バランス-『凄いじゃないか!』

マイケル-『でも、たった1万じゃ・・・。』

バランス-『そうかい?1万だってそう簡単に当たるもんじゃないよ。それに私の資産を一気に追い抜いたじゃないか。』

マイケル-『そうですけど・・・』

バランス-『でもね、今日はいい物を買ってきたんだよ、ほれ。』

マイケル-『何ですか、これは?』

バランス-『手帳だよ。』

マイケル-『これで、日記をつけるんですか?俺は日記を書く趣味はないな~。』

バランス-『違うよ、マイケル。

これには過去の出来事を書くのではなく、未来の予定を書くんだよ。』

マイケル-『未来?競馬の予想みたいなもんですか。』

バランス-『かなり違うね。思考を現実化させる為に大事な役割を果たすものだよ。』

マイケル-『それじゃあ、これがあれば自分が目指している目的地に辿り着くことができるんですね。でも面倒くさそうだな~。』

バランス-『マイケルはお金持ちになりたいという思考を現実化させたいんだろう。この間、今年中に50万円を貯めるというゴールは設定したよね。でも目的地に辿り着くまでのレールが敷かれていないのに、どうやって電車に乗ることができるんだい?』

マイケル-『電車?』

バランス-『そうだよ、電車だよ。私とマイケルは運を味方につけているんだから、徒歩じゃなく電車で目的地に向かうんだよ。徒歩だったら疲れるし、時間もかかるしきっと途中で嫌気がさすだろうね。』

マイケル-『ふ~ん、なるほどね。』

バランス-『手帳に予定を書くことが、レールを敷いていることになるんだよ。それともマイケルは徒歩で目的地に行きたいのかい?』

マイケル-『絶対に嫌なのだ~。』

バランス-『じゃあ早速、予定を立てようじゃないか。50万を10ヶ月で割るといくらになる?』

マイケル-『5万です。』

バランス-『じゃあ3月から毎月5万稼ぐのを目標にしようじゃないか。』

マイケル-『かなり具体的になってきましたね。普通の人が5万を稼ぐのは簡単だろうけど、今の俺達にとってはかなりの高給ですね。』

バランス-『そうだね、だけど最初にこの関門をクリアすれば、私達はお金持ちになったのも同然だよ。』

マイケル-『でも1億にはほど遠いですけどね。』

バランス-『距離は関係ないと思うよ。一番大事な事は、【電車が動き出した】ってことだよ。』

マイケル-『でもどうやって、5万稼ぎましょうかね。』

バランス-『それをこれから二人で考えるんだよ。』

マイケル-『俺~、頭悪いからな~・・・。』

バランス-『いいかいマイケル、前にも言ったと思うけど、頭の良い悪いはあまり関係ないんだよ。一番大事なことは、考えるか考えないかだよ。仮にどんな状況でいようとも、誰でも成功できるようにこの世の中はできているんだよ。成功できないのは成功を望んでいないからだよ。成功を望んでいるのであれば、必ず頭を使うはずだよ。』

マイケル-『バランスさんにそう言われると少し自信がついてきたな~。』

バランス-『それにもう一つ、いい事を教えてあげるよ。』

マイケル-『なんですか?(ワクワク)』

バランス-『考えるという行為は【自分の望みは叶う】って思考していることにもなるんだよ。いいかいマイケル、考えることによって答えが出るのか出ないのかも大事だと思うよ。

でも考える事によって自分の望みが叶うように周りの環境が変わり始めるんだよ。』

マイケル-『ふむふむ、それで?』

バランス-『考えるというのは、自分の望みを叶える為の答えは既にこの世の中にあると信じてるいることになるだろう。すなわち、頭の良い悪いに関係なく、その答えを見つけ出す事ができるんだよ。』

マイケル-『へぇ~。じゃあ、5万稼ぎ出す方法は必ずあるということですね。』

バランス-『そうだとも、それに既に目の前にはチャンスがあるじゃないか!』

マイケル-『既にチャンスがある?』

バランス-『前にサンタさんがいるって、言わなかったかい?』

マイケル-『マスターのことですか?』

バランス-『そうだとも。マイケルは、最初マスターに酷い扱いをされた時、何を思った?』

マイケル-『絶対に見返してやる!って思いましたよ。』

バランス-『じゃあ、その思考が現実化されるんだよ。見返してやる!っていうのは、きっと相手より自分の方が立場が上の事を言うんだろうね。』

マイケル-『そ、そんな事って起こりえるんですか?』

バランス-『だって運(エネルギー)が発生するんだから、別に不思議な事ではないだろう。』

マイケル-『じゃあ、バランスさんは最初から結果がどうなるかを知っていて、それでマスターに怒られても、全て受け入れていたんですね。』

バランス-『というよりは、【結果がどうなるか知っているからこそ、喜んで受け入れることができるんだよ】

マイケル-『し、信じられない・・・。』

バランス-『世の中は苦労せずに成功できるようになっているんだよ。ただ、自然の中に溶け込むだけでいいのさ。』

12.事実を隠すと器は小さくなる?

喫茶店の社長-『仕事は楽しいかい?』

バランス-『ええ、喜んでやらせて頂いてます。』

喫茶店の社長-『君はどうだね?』

マイケル-『俺も・・・いや、僕も仕事はとても楽しいです。』

喫茶店の社長-『実は話があってね・・・、バランス君は明日からマスターをやってくれないだろうか。』

バランス-『え、私がですか?』

喫茶店の社長-『そうだ、君にお願いしたいんだ。』

バランス-『でも、マスターはいますよね。』

喫茶店の社長-『あのマスターは、店のお金を使い込みしてね・・・、だからクビにしたってわけさ。それとマイケル君は主任として働いてもらいたいんだ。』

マイケル-『はい、喜んでやります。』

喫茶店の社長-『マスターからは話を聞いていたんだけど、君達はここに来る前はホームレスだったらしいね。でも仕事はとても真面目だし、どんな仕事でも決して嫌な顔をせず喜んでやっているそうじゃないか。私の会社は喫茶店を2店だけ経営しているちっぽけな所なもんで、一人一人が熱心に仕事をしてくれないと、この不景気ではとてもじゃないけど、もたないんだよ。それに駅前には大手のチェーン店が進出してきているしね。どうだい?今までのように頑張ってやってくれるかな?』

バランス-『はい、何とかお力になれるよう精一杯頑張ります。』

マイケル-『僕も今まで以上に頑張ります!』

喫茶店の社長-『よし、明日からまた頼むよ。あっ、そうそう、給料はこれから2倍にアップして月1回支払うからね。今までずいぶんと安い賃金で働かせて悪かったね。』

マイケル-『ええ、本当にびっくりする位の給料でしたね。』

バランス-『マイケル、だめだよそんな事言っちゃ。』

マイケル-『あっ(汗)・・・、いやぁ、あんなにびっくりする位の給料を貰っていたのに、さらに2倍になるなんて、もうラッキーとしか言いようがないですね。』

喫茶店の社長-『それと、これはアパートのカギだよ。いつでも入れるようになっているから、準備ができ次第裏の倉庫から出て行くんだね。それとも、倉庫で寝泊りする方がいいのかな。』

バランス-『なんとお礼を言っていいか・・・、有難うございます。』

マイケル-『もうここで骨を埋めてもいい位の気持ちです!』

喫茶店の社長-『じゃ、頼んだよ。』

・・・・・

マイケル-『最高ですね、バランスさん。』

バランス-『ほんとうだね、マイケルもよくここまで頑張ったね。』

マイケル-『アパートに住めて、しかもあのマスターまでいなくなるんなんて、まるで夢のようだな。ただ給料が2倍にしかならないっていうのは、ちょっと気にかかるけど・・・。』

バランス-『でもこれからは、倉庫にいるネズミやゴキブリに眠りを邪魔される心配がないのだから、良かったじゃないか。それより、ビールが冷えているうちに乾杯しようじゃないか!』

マイケル-『そうですね、俺達の未来にかんぱ~い!なんだか天国にいる気分ッす。』

バランス-『もちろんじゃないか、パラダイスの中に足を踏み入れたのだから。』

マイケル-『こんなに美味いビールを飲むんて、生まれて初めてだな~。本当に天国ってあるんですね・・・。もしあの時に逃げていたら・・・、きっと今の幸せはなかったんだろうな~。』

そして給料日

マイケル-『バランスさん、この封筒なんだか妙に厚くないですか?』

バランス-『そういえば、随分厚いような気もするけど・・・。』

マイケル-『す、凄い!万札がえ~と、1、2、3・・・19、20枚!』

バランス-『私も21万あるよ!』

マイケル-『やりましたね、バランスさん!』

バランス-『でも素直に喜ぶわけにはいかないだろう。』

マイケル-『どうしてですか?』

バランス-『明らかに給料計算が間違っているからだよ。社長は2倍にアップすると言ったはずだよ。日給1000円が2倍になったところで、週に1回休みをもらっているのだから、せいぜい月5万円がいいところだろう。』

マイケル-『でも、多く貰っているんだから、わざわざバカ正直に申告することないじゃないですか。このままほっときましょうよ!』

バランス-『いや、ダメだ!マイケルは一つ大きな過ちを犯しているよ。』

マイケル-『どういうことですか!』

バランス-『給料が少ない時には、文句を言いに行く。そして給料が多い時には、そのままにしておく。これがマイケルの考え方だね。これは周りの環境や出来事によって、自分の心が左右されていることになるんだ。プラス(給料が多い)は受け入れるけど、マイナス(給料が少ない)は受け入れないという、偏った考え方なんだよ。』

マイケル-『マイナス思考をしていることになるんですか?』

バランス-『その通りだよ。いいかい、仕事が辛い時(マイナス)は文句を言う、しかし仕事が楽な時(プラス)は何も言わないという間違った考え方なんだよ。マイケルはまたマイナスを避けて通るつもりかい?』

マイケル-『いや、マイナスを避ける気持ちなんて、今はもうないです。』

バランス-『マイケルは今、20万というお金に心を奪われてしまったんだよ。マイケルは確かお金持ちじゃなかったのかい?』

マイケル-『そうですね、お金がなくても【既にお金持ちである】という考えは持つようにしています。』

バランス-『私達の最終的な望みは何だったか覚えているかい。確かお金持ちになることだったよね。マイケルは20万の現金を手にすることが夢だったのかい?』

マイケル-『いや、違います。』

バランス-『それじゃあ、運の仕組みで分かりやすく説明してあげようか。最初に提示された金額よりも多くの給料を貰ったことになるんだ。そこで、何も言わずだまっているのは、多く貰った給料(プラス)に対して喜んでいる(プラス)ことになるだろうう。事実は事実として受け止めなければならないんだよ。周りの現象によって、事実を隠したり、都合のいい方にもっていくのは、【自分はお金に困っている】と思考していることにもなるだろう。1000円の2倍・・・これが現実なんだ。この事実を隠すわけにはいかなんだ、わかったね。』

マイケル-『わかりました。』

バランス-『プラスの現象に対して、プラスの感情は禁物なんだ。運に見放されてしまうからね。それにお金持ちになる為の第一歩は目先の利益を追わないことって、最初に言ったはずだよ。もし今、マイケルが20万のお金に心を奪われてしまったら、マイケルの器はたったの20万しか入らない小さなものになってしまうんだ。マイケルはさっきバカ正直って言ったね。正直に話すことで、その後どのような結果がもたらされるか前もって知っている場合は、バカ正直とは言わないんだ。これほど賢い選択は他にないと思うよ。

お金を引き寄せる磁石を一つ手に入れたことになるのだからね。

それじゃあ、社長の所に行こうじゃないか。』

・・・・・

バランス-『実は給料計算が間違っているみたいなんですが。』

社長-『事務員に調べさせておくよ。足りない分は悪いけど来月になってしまうけどね。』

バランス-『いえ、多く入っていたんですよ。確か今までの2倍にアップするって言ってましたよね。』

社長-『ああ、そうだよ。』

バランス-『今まで日給1000円で働いてましたので、仮に2倍にアップしても日給2000円で月に換算すると5万円にしかならいと思いますが、給料袋の中には20万円も入っていたんですよ。』

社長-『何も間違ってはいないよ、20万円でいいんだ。今まで1ヶ月10万円の給料を支払っていたんだからね。』

バランス-『え?』

マイケル-『え?どういうこと?』

社長-『はは~ん、さては・・・、きっとマスターがネコババしてたんだろうね。』

マイケル-『あのヤロー!ふざけやがって!』

バランス-『まあいいじゃないか、もう過去のことだよ。私達には素晴らしい未来があるのだから。』

マイケル-『そ、そうだけど・・・。

そういえばこの状況は、初めて給料を貰った時の全く正反対の現象だ。信じられない!』

バランス-『信じられないかもしれないが、これが現実だよ。未来は自分で作り出すものなんだ。決して与えられるものではないんだ。』

続きは「お金持ちの思考 マイケルの物語・ホームレス編4」

Pocket

      2023/02/21

 - 物語