理不尽な世の中を斬る!マイケルの物語・復讐編3
9.停滞している時は、暇な波動を出さない
飲み屋
キャサリン-『この間の続き話してくれる?』
バランス-『どんな話?』
キャサリン-『この間は、ほら、忙しくしている人の所に運は集まるって言ってたじゃない。』
バランス-『ああ、そうだったね。例えば、職場なんかでは、「仕事は忙しい人に頼め!」という話を聞いたことはないかい?』
キャサリン-『あるある。不思議と暇な人に頼むより、忙しい人に頼んだ方が、仕事の中身もいいし、処理してくれるのが早いんですよね。』
バランス-『不思議なことに、忙しくしている人の方が仕事ができるというのが通説のようだね。だから、運を引き寄せるには、ただぼんやりと暇そうにしているよりも、忙しく動き回っている方がいいんだ。だから世の中で成功を収めている人や企業の社長さんなんかは、たいがいスケジュールで時間を管理している人がほとんどだね。』
キャサリン-『へぇ~。確かに言われてみればそうかもしれないですね。同僚の子でも、仕事のできる人は、結構休みの日なんかも忙しくしてて充実してるって言ってましたからね。じゃあ、何もやることがなくて、ボッーとしている人は運が悪くなるということですよね。』
バランス-『その通りだね。』
キャサリン-『でも私だってたまに、上司に怒鳴られたり仕事で大きなミスをしたりして、一日中気分が憂鬱になって何もしたくなくなる時はあるわ。』
バランス-『人間だから、元気のいい時ばかりじゃないからね。上司に怒鳴られたら落ち込むだろうし、仕事で大きな失敗をしたら自分をせめてしまいたくもなるだろうしね。』
キャサリン-『じゃあ、早くその憂鬱な気分から脱出する術を見つければいいのね。』
バランス-『どうしたらいいと思う?』
キャサリン-『ん~、わからないわ。』
バランス-『とても簡単なことさ。上司に怒鳴られる事や仕事で大きな失敗をする事に対して、マイナスのイメージを持つからそうなってしまうんだろう。だから、【怒鳴られる】、【失敗】という出来事に対して、【嬉しい】って思えるようになれば、すぐに気持ちが切り替えられるだろ。』
キャサリン-『やっぱり、嫌な出来事(マイナス)に対して喜ぶ(プラス)という考え方は、ただ単に運が発生するというだけではなく、暇な波動やネガティブな波動を最小限に食い留める効果もあるのね。確かに職場でも、嫌なことがあってもそれを直ぐに忘れられる人は、傍からみてもとても運がいいと思うわ。』
バランス-『運の仕組み、覚えてくれていたんだね。』
キャサリン-『えぇ、最初に知った時はかなり衝撃的だったから。忘れろって言われても忘れられないわ。私も今は働いているから、それなりに自己啓発関連の本を読むようになったの。でも、「マイナスの出来事はラッキーな事なんだよ。良かったね、ツイてるね!」なんて事、普通はそこまで言わないもの。しかも、自信満々で言うんだもの・・・。』
バランス-『そうだね。嫌な事があって、そして落ち込んで、そしてボッーとしたりする時間が多くなって、すると運が悪くなっていくのでさらに不運が起こるようになる。そうなると、さらに落ち込むことになるので、どんどんマイナスのスパイラル現象に陥ってしまい、なかなか復活することが難しくなってくるね。だから、運が停滞している時には、掃除したり運動したり人と会ったりして、暇な波動を少なくすることが大切だね。』
キャサリン-『それでね、バランスさん。マイナスのスパイラル現象が起こるという事は、当然逆のプラスのスパイラル現象を引き起こすことも可能ですよね。』
バランス-『もちろんだとも。』
キャサリン-『それで、兄を助けて欲しいの。運を知り尽くしているバランスさんなら、できるはずでしょ。』
バランス-『残念だけど、物事はそう簡単に理屈通りにはいかないんだ。』
キャサリン-『どうしてなの?』
バランス-『例え、運を知り尽くしていたとしても、その運を発生させる源が刺激されないことには、難しいんだよ。』
キャサリン-『どういうことですか?』
バランス-『運っていうのはね、”感情”が支配しているようなものなんだ。上司に怒鳴られて、いつまでも落ち込んだり相手を憎んだりすれば、運が逃げていくことになるね。逆に運を貰うには、怒鳴られた時に喜ぶようにしなければならないだろ。早い話、そういうシチュエーションを作り出さないことには、強力な運が発生しないということさ。』
キャサリン-『じゃあ、どうすればいいの?』
バランス-『私も刑務所に入ることかな・・・。』
キャサリン-『そんな事をしても意味がないじゃないの。』
バランス-『まあ、それは冗談だけどね。ただ、私もマイケルと同じようにマイナスの感情を感じることによって、強力な運を発生させることは可能だよ。ただし、強力な運を発生させるには、それ相当のマイナスの事象に遭遇しなければならない事を意味しているからね。今の私には、そんな勇気もなければ気迫も残ってないからね。』
キャサリン-『でも、大金は無理だけど、生活する分だけのお金なら払うわ。バランスさん、今仕事してないんでしょ。』
バランス-『痛いところ突いてくるね。確かに今、不景気で仕事がないのは事実さ。でも、今の私にできるかどうか自信がなくてね。』
店主-『何言ってるんだよ!人助けだろ!手伝ってやればいいだろ!無実の罪で刑務所に入れられる兄を助けるために、妹が頼みにきてるんだから、ゴチャゴチャ言わずに助けてやれよ!!だらしがなくて見てられねぇよ、ったく!』
バランス-『・・・。』
キャサリン-『お願い、兄を助けてください。』
店主-『ちょうど良かったじゃないか!今のご時世、あんたみたいな酒飲みに仕事なんかあるわけないんだし、それに人助けしてお金が貰えるんだから、こんな嬉しいことはないじゃないかよ!助けてやらないと、うちの大根はもう二度と食わさないぞ!』
バランス-『(ちょっと言い過ぎじゃないのか・・・)あぁ、わかったよ、やってみる。オヤジの言葉で、なんだか目が覚めたよ。無実の罪をきせられて苦しんでいる昔の知り合いがいるっていうのに、無関心を装うなんて最低かもしれないな。』
店主-『運の仕組みだかなんだか知らなねぇけど、それを使わなかったら宝の持ち腐れじゃないか。まるで、数百億の大金を貯めこんで、一円のお金も使わないであの世に行くことと同じくらいバカげてるじゃないか。』
バランス-『オヤジ、いいこと言うよな。ありがとう。』
キャサリン-『それじゃあ、引き受けてくれるんですね。』
バランス-『ああ、とにかくやってみるよ。作戦は次に会った時にでも話し合おう。悪いけどキャサリン、勘定頼むわ(・・・情けない)』
10.遅刻した時でも喜ぶようにする
バランス-『隣町に来るなんて久しぶりだなぁ。いやあ、仕事が見つかって良かった、良かった。工場の夜勤で短期のアルバイトだけど、贅沢言ってる場合じゃないからな。えぇ~と、この道を真っ直ぐ行けばいいんだよな。』
公園
A少年-『お前、またボコボコにしてやるからな!』
B少年-『生意気なんだよ!』
ジョン-『やめろよ、痛いよ。』
C少年-『こいつまた、穴のあいたズボンはいてるぞ!』
D少年-『本当だ、今時穴のあいたズボンをはいてるやつなんかいないぞ!』
E少年-『ごめんなさい、って謝ったら許してやるよ!』
ジョン-『なんで僕が謝るんだよ!謝るのはそっちの方じゃないか!』
A少年-『なにぃー!生意気な口を聞きやがって!【僕が悪かったです、ごめんなさい】、って素直に謝れば許してやるよ。』
ジョン-『絶対に嫌だ、口が裂けても謝らない。』
A少年-『おまえ、世渡りが下手だな。素直に謝れば、痛い思いをしなくてもいいし、ズボンだって新しいのを僕が買ってやるかもしれないのに。僕の家はお金持ちだから、他にも色々買ってやれるのにな。よし!皆でボコボコにしてやろうぜ!』
ジョン-『痛いよ!痛いってば!』
バランス-『あれっ・・・。公園の方で騒ぎ声がするな・・・。』
・・・・・
A少年-『ついでだから、ズボンも脱がしてしまおうぜ!』
B少年-『そうだよな!穴のあいたズボンなんて、カッコ悪いもんな!』
ジョン-『お願いだから、やめてくれよ!』
バランス-『おいおい、その子は嫌がってるみたいだぞ。その子から手を離しなさい!』
A少年-『なんだよ、オジサン!関係ないんだから、黙っててくれよ。』
C少年-『そうだよ、ウザイんだよ!』
バランス-『ウザイ?もしかして、私のことを【ウザイ】って言ったの?(言葉使いの悪い小学生だな・・・)』
C少年-『そうだよ、オジサンのことをウザイって言ったんだよ。他に誰もいないだろう。』
D少年-『邪魔だから、早くどっかに行ってよ!本当、キモイオジサンだよな!』
バランス-『キモイ?普通、小学生が大人に対して、そんな言葉は使わないだろう。学校で何を習ってるんだよ、ウザイとか、キモイとか・・・。(小学生に人格否定されるなんて・・・、情けないな。)』
A少年-『あんまりうるさいと、パパに頼んで、オジサンも刑務所に行ってもらうことになるよ。』
バランス-『刑務所?』
A少年-『あっ、いや、何でもないよ。誰にもしゃべるなって、パパに言われてたんだっけ。さぁ、みんな帰ろうぜ。』
E少年-『よし、帰ろうか!』
・・・・・
バランス-『大丈夫だったかい、坊や?』
ジョン-『・・・。』
バランス-『傷だらけだけど、痛くないかい?』
ジョン-『・・・。』
バランス-『一人で歩けるかい?』
ジョン-『・・・。』
バランス-『あまり、話したがらないようだな。じゃあ、気をつけて帰るんだよ。そういえば、私も仕事があったんだ。いけねぇ、もうこんな時間かよ。初日から遅刻だなんて、ツイてないな・・・、トホホ。いやいや、ツイてないって事はないな、この先きっと何かいい事があるに違いない!こういう不運な時っていうのは、意外とチャンスかもしれないぞ、ウフフ。』
ジョン-『オジサン、何ブツブツ言ってるの。』
バランス-『別に何でもないさ。今日は久しぶりの仕事だったんだけどね。しかも大事な初日だっていうのに、もう遅刻は間違いなしだな。でもね、落ち込んでてもしかたがないから、気持ちを入れ替えてたのさ。』
ジョン-『もしかして、それって・・・、宝捜しなの?』
バランス-『宝捜し?』
ジョン-『魔法使いになるための特訓だよ。あのね、不幸な時(マイナス)に、幸せ(プラス)を見つけるのが、宝捜しなんだよ。』
バランス-『へぇ~、きみは面白いことを知ってるんだね。誰がそんなことを教えてくれたの?』
ジョン-『ここの公園で知り合ったお兄さんだよ。』
バランス-『そのお兄さんの名前は?』
ジョン-『名前は聞いてないよ。・・・ところでさっきの答えは見つかった?』
バランス-『答えって?』
ジョン-『遅刻(マイナス)したんだから、その逆の幸せ(プラス)を見つけるといいみたいだよ。』
バランス-『そうだな、初日から遅刻して、もしかしたらクビ(マイナス)になるかもしれないけど・・・。でも、きみと知り合って、悪ガキどもから助けてあげることができたんだから、今はとてもハッピー(プラス)で清々しい気分だよ。遅刻して会社には迷惑をかけるかもしれないけど、人間としてはとても正しい選択だったと思うよ。』
ジョン-『オジサン、宝捜しうまいね!どこかで習ったことがあるの?』
バランス-『別に習ったってわけじゃないけど・・・でもね、こうやって不幸がある時に、喜ぶようにすると、その後に良いことがいっぱい起こるようになるんだ。』
ジョン-『へぇ~、その話、もっと詳しく聞かせてくれる?』
バランス-『ごめんよ、もう仕事に行かないと、本当にヤバイわ。また、今度話してあげるよ、じゃあね!』
工場
工場長-『初日から遅刻だと?はぁ?なめとんのか、お前!』
バランス-『いや、なめてはおりません。場所がわからず迷っているうちに、遅刻してしまいました。大変申し訳ありませんでした。』
工場長-『正直な話、この不景気のおかげで働き手はうじゃうじゃいるんだよ!お前みたいなだらしがない奴は、めちゃくちゃ厳しく指導してやるからな、覚悟しとけよ!!!ガッハハハ!先が楽しみだ!』
バランス-『こちらこそ、大歓迎でございます。(とりあえず、クビにならず、ラッキー、ラッキー!)』
11.宝捜しのスタートは自分から
工場長-『こらぁ、手を休めるな!ボケェ!』
バランス-『あっ、はい。まだ不慣れなもんで、ちょっと疲れてたから、ほんのちょっとだけ手を休めてただけです。』
工場長-『そんなに休みたいのなら、休憩所にでも行って、一日休んでおればいいだろ!』
バランス-『いえいえ、結構です。』
工場長-『こらぁ、何度言ったらわかるんだよ!お前は不良品を出しすぎるんだよ!注意力が散漫だから、ミスばかりするんじゃないのか!今度同じ間違いをしたらクビにするからな!!』
工員A-『次から気をつけますので、クビだけは勘弁して下さい。』
工場長-『じゃあ、今日は休憩なしで仕事をしろ。わかったな!』
工員A-『はい・・・。』
キーンコーンカーンコーン♪
工場長-『ハーイ、休憩!』
バランス-『いやあ、疲れた疲れた、喉も渇いたし、ちょっくら休んでくるか。』
工場長-『お~い、何処へいくんだ?』
バランス-『休憩時間ですから、ちょっと休んでこようかなと思いまして。』
工場長-『何、ふざけたこと言ってるんだよ!勤務初日に1時間も遅刻はするわ、仕事も覚えが悪いし遅いし!そんなお前が皆と同じように、休憩するだと?』
バランス-『・・・。』
工場長-『仕事のできない奴に給料を払うほど、ウチの会社は儲かってないんだよ!わかったら早く、働け!嫌なら辞めてもらっても構わないんだぞ。』
バランス-『わかりました、働きます。』
工場長-『ほんじゃ俺も休憩してくるわ。二人ともサボるなよ!』
バランス-『はい。』
工員A-『はい。』
バランス-『随分と人使いの荒い工場長ですね。』
工員A-『あの人は、この町に工場を誘致した大手商社の社長と知り合いでね。だから、威張っていられるんですよ。あんたも、ひどい所に入ったもんだね。』
バランス-『いやあ、不景気でね。なかなか仕事がなくてさ。』
工員A-『でも、ここの工場も不景気のあおりで、儲かってないらしいよ。このままだと人員削減もありえるし、工場長もクビになるかもしれないっていう噂だし。だから、工場長もピリピリしているのさ。あっ、あんまり話ばかりしていると、また工場長に怒られてしまうので・・・。』
バランス-『そうですね。』
翌日-公園
バランス-『やぁ、元気だったかい?』
ジョン-『うん、元気だったよ。今日は時間大丈夫なの?』
バランス-『うん、かなり早めに出てきたからね。30分くらいは大丈夫だよ。』
ジョン-『ねぇ、宝捜しはどこで習ったの?』
バランス-『習ったわけじゃないんだけどね。でも、人生っていうのは、悔しい事や辛い事がいっぱいあるね。坊やだって、まだ子供なのに、友達からいじめられたりして、人生って大変だなぁって思う時があるだろう。』
ジョン-『僕なんか、生きていくって大変だなぁって、いっつも思ってるよ。子供でさえ大変なんだから、大人になったらもっと大変だろうなって・・・。だから僕、子供のままでいるのが夢なんだ。』
バランス-『でもさ、坊や。人生って、考え方一つでいくらでも変わるものなんだよ。』
ジョン-『どんなふうに?』
バランス-『坊やはこれから家に帰って、ご飯を食べるだろう。楽しみだと思わないかい?』
ジョン-『食事の時間は、一番の楽しみだよ。今日のおかずは何だろうな・・・。考えただけでお腹がすいてきちゃった。』
バランス-『お腹がすいてきて、不幸だって思うかい?』
ジョン-『思わないよ。だって、お腹がすいた後にご飯を食べると幸せな気分になるもの。』
バランス-『そうだね。じゃあ、お腹がすいている状態っていうのは、必ずしも不幸なことじゃないってことになるね。それどころか、ご飯を食べて満腹感を得るには、必要なことだって事にもなるね。』
ジョン-『何を言いたいのか、さっぱりわからないよ。僕頭悪いから・・・。』
バランス-『あのね、
辛い事や苦しい事も、生きていくうえでは必要なことなんじゃないのかい?ってことさ。』
ジョン-『そうかなぁ。僕小学生だから、そんな難しいこと言われても・・・。』
バランス-『そうか、じゃあ、宝捜しが上手くできる方法を教えてあげようか?』
ジョン-『ちょっと待ってね、ペンとノートを用意しなきゃ!』
バランス-『宝捜しっていうのは、不幸な時(マイナス)にするだろう。』
ジョン-『うん。』
バランス-『一番大切なのは、もっとも身近な対象をターゲットにして、宝捜しをすることなんだ。』
ジョン-『じゃあ、お母さんに対してすればいいの?』
バランス-『いや、違う。』
ジョン-『じゃあ、兄弟に対してすればいいの?』
バランス-『それも、違う。』
ジョン-『じゃあ、やっぱりいじめっ子に対して、宝捜しをしないといけないんだね。』
バランス-『それも、ちょっと違う。もっと大事な存在があるだろう?』
ジョン-『誰だろう・・・、わかった!!学校の先生だよね。いつも勉強を教えてくれる担任の先生に対して、宝捜しをすればいいんだよね?』
バランス-『残念だけど、それも違う。』
ジョン-『え~、じゃあ誰に対して、宝捜しをすればいいんだろう。わかんないよ、教えて!』
バランス-『簡単さ、自分自身に対して、宝捜しをすればいいんだよ。まずはそこからスタートするといいよ。自分を認めて、そして周りを認めて、そこからだんだんと世界が広がっていくんだ。残念だけど、もう会社に行かないと、またあの鬼工場長に怒られて、痛い目にあうといけないからな。じゃあ、またな坊や。そういえば名前を聞いてなかったな。』
ジョン-『ジョンだよ。』
バランス-『ジョンか、いい名前だ。じゃあ、次会うまでに、自分に対して宝捜しをしてご覧。』
ジョン-『うん、わかった!ありがとう。』
12.何もないのが宝物?
バランス-『やあ、待ったかい?』
ジョン-『僕も今、きたところだよ。』
バランス-『この間、私が出した宿題考えてみたかい?』
ジョン-『うん、難しかったけどね、考えてみたよ。』
バランス-『じゃあ、聞かせてくれるかい?』
ジョン-『うん、いいよ。あのね・・・。自分に対して、宝捜しをするんだったよね。』
バランス-『そうだよ。』
ジョン-『僕、何もいいところがないってことがよくわかったんだ。だってね、頭も悪いし、のろまだし、いつも寝坊ばかりしてるし、いじめられてばっかりだし、家は貧乏だし・・・。宝捜しをしていたら、だんだん憂鬱になってきちゃった。』
バランス-『そうか~、ごめんよ。嫌な気分にさせちゃって。』
ジョン-『でもね、一つだけ宝物かなって思えることがあったんだ。』
バランス-『なんだい?』
ジョン-『僕、何もいいところがないでしょ。ひょっとしてそれが宝物かなって・・・。だってね、何もいいところがないから、あのお兄さんから【魔法使い】になる為の方法を少しだけ教えて貰うことができたんだし。でも、お兄さん、どこに行っちゃったんだろう。』
バランス-『また来るって言ってたのかい?』
ジョン-『うん、だってまだ、【魔法使い】になる為の方法を全部教えてもらってないから。』
バランス-『そうか~。ジョンは、自分には何もいいところがないって言ったね。』
ジョン-『うん、言ったよ。』
バランス-『エジソンって知ってるかい?』
ジョン-『うん、知ってる。学校の図書館で読んだことがあるよ。でも、頭悪いから本の中身、どんなことが書いてあるのか忘れちゃった。でも、たしかいろんなモノを発明して有名になったんだよね。』
バランス-『そうだね、エジソンはいっぱい発明したことで有名だね。信じられないかもしれないけど、エジソンはね。小学生の時に授業についていけないからって、学校から追い出されてしまったんだよ。そんなに頭の悪い子が、どうして世界的に有名な発明家になれたのだろう?』
ジョン-『あの有名なエジソンが、小学生の時に学校から追い出されたなんて、ビックリだね。じゃあ、頭が悪くても、大丈夫ってことだよね。』
バランス-『そうだ、ジョンの言うとおりさ。』
ジョン-『じゃあ、頭の悪いエジソンがどうして、凄い発明家になってしまったの?』
バランス-『知りたいかい?』
ジョン-『うん、もちろん。早く教えて!』
バランス-『強い願望と強い運があったからさ。』
ジョン-『ちょっとメモしていい?(強い願望と強い運・・・と)でも、魔法使いになる為の特訓を受けたわけじゃないんだね。それ聞いてちょっとガッカリかな・・・。』
バランス-『言葉は違うけどもね、魔法使いになる為の特訓というのが、【運】そのものなんだよ。』
ジョン-『じゃあ、運を良くすれば、僕でもりっぱな大人になって幸せになれることができるんだね。』
バランス-『ああ、大丈夫だとも。でも、今はちょっと運の話をするのはやめておこう。それよりも、今はもっと大事な話があるんだ。』
ジョン-『な~に?』
バランス-『さっき言った。自分の宝捜しさ。ジョンは自分には何も自慢できるものがないって言ったね。でも、【魔法使いになる為の方法】に、とても興味を示しているね。』
ジョン-『うん、だってワクワクして楽しそうなんだもん!』
バランス-『それが、ジョンの”宝物”さ!』
ジョン-『それが僕の宝物なの?だってね、学校の友達は皆、面白いゲーム機をいっぱい持ってたり、スポーツ万能だったり、いい洋服を着たり・・・、目に見えるものが宝物だと思うんだけどな。』
バランス-『実はね、それは違うんだよ。だってね、もしエジソンがいい身なりをしていようと、遊ぶおもちゃをいっぱい持ってようが、頭が良かろうが、発明っていうのは、頭の中で浮かぶ【ヒラメキ】が大切だろ。』
ジョン-『うん、そうかもね。』
バランス-『だから大切なのは、知りたいという強い願望さ。仮に頭が良くても、知りたいという願望やワクワクする気持ちがないと、物事を続けることは難しいからね。』
ジョン-『ちょっと話が難しくなってきたね。』
バランス-『ああ、ごめんよ。いいかい、【魔法使いになりたい】という強い願望があろだろう。』
ジョン-『うん、できればなりたいと思うよ。』
バランス-『強い願望そのものが、【宝物】なんだよ。何かを習得しようとする向上心や知識欲がないと、何をやっても絶対に成功はできないからね。それに、【魔法使いになりたい】っていう思いは、他に何もとりえがないからこそ、こだわっているという理由も少しはあるだろう。』
ジョン-『僕の場合は、少しどころか、ズバリそのものだよ。だって本当に何もないから、魔法使いになって皆をビックリさせてやりたいんだもん!』
バランス-『いいかい、人っていうのは、強い願望があれば多少の困難があっても乗り越えていけるものなんだ。だから、他に何もなくても、全く気にする必要はないさ。自分に何もないって事は、逆に”何かを生み出そう”するとエネルギーが心の中で湧き出てくるんだから、本当は何もないって事が【宝物】にもなるんだ。それに気づいた人間は、必ず成功できるし、生涯幸せになることができると思うよる。』
ジョン-『まだ、よくわからないけど、気持ちが明るくなって希望が出てきたから、今は幸せかな・・・。』
つづきは「理不尽な世の中を斬る!マイケルの物語・復讐編4」へ
2023/02/21