疲れた時に癒される物語 悩みは天からの贈り物1
「ゼロの法則」や「運の世界」がストーリー形式で楽しく理解できるようになっています。
あなたが大切にしているもの、それは何だろう?
もし失ったとしたら?
そして失うことに意味があるとしたら?
意味がわかった時、あなたの人生は変わるだろう。
もしこの世に不変の法則があるとしたら?
あなたはもう悩む必要はないだろう。
一匹のネズミと一匹のカエルが繰り広げる不思議な物語。
あなただけの贈り物が見つかることを祈ります!
1.出会い
カエル-『外も暖かくなってきたことだし、エサを探しに出かけようかな。しかし、冬眠は長かったな~。今日はお腹がいっぱいになるまで食べるケロ。』
ハエ-『ブーン、ブーン・・・。』
カエル-『おっ、きた、きた!よし草の陰に隠れよう。』
ハエ-『ブーン、ブーン、・・・。』
カエル-『もう少し、こっちへ来い。もうちょい・・・、よし!ジャ~ンプ!!あれ?逃がしたか(・・・トホホ)。しばらく体を動かしてなかったから、動きが鈍ってるのも、しかたがないか。』
ハエ-『ブーン、ブーン、ブーン、ブーン、・・・。』
カエル-『よーし、もう一回、ジャ~ンプだ!!くそ、またダメか・・・あ、足がつった。やっぱりいきなり激しい動きは無理かな・・・、少し準備体操をしてからにしよう!』
ハエ-『ブーン、ブーン、ブーン、ブィーン、ブ~~~ン・・・。や~い、へなちょこガエル!ブーン、ブーン、ブィィィィィィィィィーン!!!』
カエル-『ムッ!こいつ、妙に反抗的な奴だな(ゲロゲロ)。』
ハエ-『ブーン、ブィィィィィィィィィーン!!!』
カエル-『あっ!こいつ、わざと目の前を通り過ぎたな!よ~し、絶対に捕まえてやる!待て~、ピョ~ん、ピョ~ン。』
ハエ-『ブーン・・・。』
カエル-『待て~、ピョ~ン、ピョ~ン。ゲロゲロ、疲れた~。あっ、あいつ穴の中に入ったぞ!よ~し、もう逃がさないゾ!』
巣穴
ネズミ-『ギョェェェェェ-、バケモノだ!』
カエル-『ギャャャャャ-、怪物だ!』
ネズミ-『早く、出て行けよ!何で勝手に僕の家に入り込むんだ?』
カエル-『ハエがこの中に入り込んだはずなんだよ。』
ネズミ-『だからって、勝手に人(ネズミ?)の家に入り込むなよ!』
カエル-『ホラ、天井にハエが止まってるじゃないか。』
ネズミ-『あっ、本当だ。』
カエル-『しゅるしゅるしゅるー(舌が伸びる音)、パクッ!ゴックン、美味かったケロ!』
ネズミ-『ギョェ!今のは何だ!口から何を出したんだ?』
カエル-『舌だよ。』
ネズミ-『気持ち悪い奴だな・・・。それに目はデッカイし。』
カエル-『君だって、手足が短いじゃないか・・・。』
ネズミ-『僕は今、寝ていたところなんだ、邪魔しないでくれよ。早くここから出て行けよ!』
カエル-『どうして、そんな所にもぐり込むの?』
ネズミ-『布団だよ。しかも羽毛だからとても暖かいんだ~。寒い冬はこれがないとだめでチュね。』
カエル-『あ~、本当だ!フワフワして気持ちいいケロロン。』
ネズミ-『おい、勝手に入るなよ!まったく・・・。』
カエル-『これは何だい?』
ネズミ-『飴玉だよ。それを舐めると、と~ても甘くて美味しいんでチュ~。』
カエル-『一つちょうだい。』
ネズミ-『ダメだよ。食べ物は自分で確保しなくちゃ。』
カエル-『じゃあ、今度ハエを捕まえてくるから、交換してよ。』
ネズミ-『僕はハエなんか食べないよ。』
カエル-『それじゃあ、何だったら交換してくれるの?』
ネズミ-『ちょっと待ってよ。これを見てご覧よ。』
カエル-『何だい、それは?』
ネズミ-『グルメ雑誌さ・・・、ほら、ここにイチゴのショートケーキがあるだろう。とっ~ても美味しそうだろう。』
カエル-『君はそんなものを見ているのかい?驚きだな!』
ネズミ-『これが僕の夢だよ。この望みを叶えることが目標なんだ。君はどんな事をするのが夢なんだ?』
カエル-『夢?そんなのないよ。夢は持たなくちゃ、いけないのかい?』
ネズミ-『それじゃあ聞くけど、今の生活に満足してるのかい?』
カエル-『満足はしてないよ。ハエを一匹捕まえるのはとっても疲れるし、冬眠中はお腹がペコペコになるし・・・。』
ネズミ-『冬眠中もエサが食べられるようになるのが君の夢じゃないかな。』
カエル-『そんな事ができるのかい?僕はてっきり冬眠中はガマンするのが当たり前だと思ったよ。』
ネズミ-『ほら、これを読んでみなよ。』
カエル-『何て書いてるんだい?』
ネズミ-『思考は現実化する、ってことが書いてあるんだ。』
カエル-『でも、その本やグルメ雑誌はどこで手に入れたの?』
ネズミ-『近くのゴミ置き場には、時々こういった物が捨てられているんだ。』
カエル-『あっ、そうだ!!さっき見たショートケーキの上にイチゴがのっていたよね。そのイチゴ、僕の巣穴の近くの畑で見たことがあるよ。』
ネズミ-『えっ、本当かい!じゃあ、そのイチゴを持ってきたら、僕の飴玉1個と交換してあげるよ。』
カエル-『それじゃあ、イチゴを2個持って来るから、僕にもその布団を作ってよ。』
ネズミ-『ああ、いいよ。ゴミ置き場は危険な場所だから、命がけなんだけどね。ほら、お尻に傷があるだろう。ネコに引っ掻かれたんだ。あいつは足が速いし、ツメは鋭いし、逃げるのが大変だったよ。こうやって食料を余分に蓄えておけば、雨の日や寒い日は外に出なくても済むだろう。』
カエル-『飴の他にまだあるのかい?』
ネズミ-『せんべい、チーズ、するめ、ソーセージ・・・。』
カエル-『へぇ~、凄いな!じゃあ、早速イチゴを探してくるよ。』
ネズミ-『ああ、待ってるよ。ところで君の名前は?』
カエル-『マイケロだよ。君は?』
ネズミ-『バランチュさ。』
2.寿命
バランチュ-『うっ、このイチゴ美味い~!!ところで、マイケロは食べないの?』
マイケロ-『僕はもう食べてきたから・・・、それより約束のあれをちょうだい。』
バランチュ-『ああ、わかってるよ。黄色がレモン味、赤がイチゴ味、緑がメロン味、さあ、どれでも好きなの食べてもいいよ。』
マイケロ-『じゃあ、メロン味をちょうだい!』
バランチュ-『ほれっ。』
マイケロ-『うっ・・・ガリっ・・・(固いよ~)』
バランチュ-『どうしたの?』
マイケロ-『バランチュの嘘つき~、固くて食べられないじゃないか!』
バランチュ-『食べるんじゃなくて、ナメるんだよ。舌でペロペロやってみなよ。』
マイケロ-『あ~、本当だ~。甘くて美味しいケロ。それに何回ナメても、飴玉はそのままだね。こりゃあ、凄いや。』
バランチュ-『飴玉一つで、幸せな時間がずっと続くなんて凄いだろう。それとね、マイケロの為に布団を作っといたからね。』
マイケロ-『うわっ~、ありがとう!フカフカして気持ちいいケロ!じゃあ、持って帰るね。ついでに僕の家に遊びにこないかい?家の近くにね、イチゴだけじゃなくて、ブドウやリンゴもあるんだよ。』
バランチュ-『本当かい?行く行く~!』
・・・・・
バランチュ-『マイケロ~、何処に行っちゃったの~。僕を一人にしないでよ!』
マイケロ-『ここだよ!目の前にいるじゃないか。』
バランチュ-『どこ?どこにいるの?』
マイケロ-『ほら、目の前だよ!』
バランチュ-『あっ、君は誰?』
マイケロ-『マイケロだよ。』
バランチュ-『声は似てるけど、君はマイケロじゃないよ。マイケロの体は灰色なんだから。君は緑色じゃないか?』
マイケロ-『体の色が変わったんだよ。草の上を歩くと、僕の体の色も草の色と同じになるんだよ。だから緑色になったってわけさ。こうすれば、恐い敵から身を守ることができるだろう。』
バランチュ-『へぇ~、凄いな!!どこでその芸を覚えたんだい?僕にも教えてよ!』
マイケロ-『(カエルが芸を覚えてどうすんだよ~!)自然と体が反応するんだよ。』
バランチュ-『ううっ、僕にもその芸があれば、ネコから身を守ることができるのにな~。体の色を変えられたり、ジャンプができたり、舌をのばすことができたり・・・(羨ましいでチュ)』
マイケロ-『僕はどんくさいし、動きが鈍いから、そういった芸ができないと生き残れないんだ。バランチュは動きが速いし、頭もいいから、その必要がないんだよ。』
バランチュ-『そ、そうだね(言われてみればそうかも)。ところでマイケロの家はまだなの?』
マイケロ-『畑をあと三つ超えた所なんだ。』
バランチュ-『え~、そんなに遠いの~。疲れた~。マイケロの背中にのせてよ。ジャンプして行けば、楽チンだと思うよ。』
マイケロ-『(楽チンなのは、バランチュだけでしょ)』
バランチュ-『うわ~、大変だ!!ネコが追いかけてくる~!!マイケロ逃げよう!!』
マイケロ-『そこの小屋に逃げ込もう!』
バランチュ-『よし、ちょうどいい穴があった。この大きさの穴だったらネコは入ってこれないはすだ。先にマイケロが入るんだ。』
マイケロ-『うん。』
バランチュ-『次は僕が入るからね。うっ、うっ・・・。』
マイケロ-『どうしたんだい?』
バランチュ-『お尻がひっかかって・・・、うっ、うっ・・・。中から思いっきり引っ張ってよ、マイケロ!早くしないと、またネコに引っ掻かれちゃうよ~。早ぐして~!!』
小屋の中
マイケロ-『危ないところだったね。』
バランチュ-『間一髪だったけど、またお尻を引っ掻かれたよ(明日から少しダイエットしなきゃ・・・)。』
小屋の主-『誰か、そこにいるのかね。』
マイケロ-『あそこに人がいるよ。しかもこっちをずっと見てるよ。』
バランチュ-『逃げなきゃ(でも、外にはネコが待ち構えているだろうし)!どうしよう、どうしよう・・・。』
小屋の主-『大丈夫じゃよ。わしはもう老いぼれ爺じゃからな。それに人間はネズミやカエルなどは食べんからな。』
バランチュ-『じゃあ、爺さんはここで何やってるの?』
マイケロ-『そういえば・・・、この辺りに仙人が住んでるって噂を聞いたことがあるんだけど・・・。ひょっとして・・・。』
小屋の主-『そうじゃよ、わしが仙人じゃ。ここにはもう50年以上も前から住んでおる。』
バランチュ-『ねぇ、マイケロ。仙人ってなあに?』
マイケロ-『僕にもよくわからないけど、不思議な力を持っている人らしいよ。』
小屋の主-『でも、わしはもう寿命が近づいてるからの。どんなに不思議な力を持っていたとしても、自然の力には逆らえないわ。』
バランチュ-『寿命ってなあに?』
小屋の主-『生を与えられた者の、生きられる時間じゃよ。』
マイケロ-『生きられる時間?・・・って事は、そのうち死ぬって事なの?』
バランチュ-『じゃあ、僕たちはいずれ死ぬっていうの?』
小屋の主-『ああ、そうじゃ。必ず死ぬことになっておる』
バランチュ-『そんなの嘘に決まってる!死ぬ事がわかっているのに、どうして僕たちは生まれてきたの!』
マイケロ-『そうだよ!仙人は嘘つきだ!!』
小屋の主-『お前たちは、ネズミとカエルのようだな。寿命は3年が限度かもしれんな・・・。』
バランチュ-『3年って言われても・・・』
小屋の主-『生まれてきてから、今回の冬が何度目か覚えておるか?』
マイケロ-『僕は2回目の冬眠だったよ。』
バランチュ-『僕も寒い冬は2回、経験しているよ。』
小屋の主-『それじゃあ、お前たちの命は今年いっぱいだろうな。運が良ければ来年までもつかもしれんがな・・・。』
バランチュ-『爺さんは、こんな所に何十年も住んでたから、頭がおかしくなったんだよ。僕だってマイケロだって、こんなに元気なのに、死ぬはずなんてないよ!』
マイケロ-『そうだよ、爺さんは仙人なんかじゃない!僕たちをからかっているんだ!帰ろうよ、バランチュ。』
バランチュ-『そうだね、3年しか生きられないなんて、バカげてるよ。』
・・・・・
小屋の主-『そのうち、わかる時がくるであろう・・・』
3.僕の宝物は何処に?
バランチュ-『このリンゴ、美味しいね~。』
マイケロ-『あっちにはね、もっと甘~いブドウもあるんだよ。』
バランチュ-『本当かい、じゃあ早く行こうよ!』
マイケロ-『うん、僕の後についておいでよ。』
バランチュ-『大変だよ、マイケロ!!またネコが追っかけてくるよ!早く、逃げなきゃ!!』
マイケロ-『あそこに穴があるから、その中に入りこもう!!』
巣穴
マイケロ-『いや~、危ないところだったね!』
バランチュ-『本当、びっくりだよ!』
ヘビ-『誰だ!俺様の家の中に勝手に入り込んできた奴は!』
マイケロ-『ギョェェェェェ~、バケモノだ~!!!』
バランチュ-『ギャャャャャャ~、妖怪だ~!!!』
ヘビ-『突然、家に入り込んできて、しかも俺様のことをバケモノだ、妖怪だ、なんて叫びやがって!頭にきたゾ~~!!!』
バランチュ-『逃げなきゃ!!!(食べられちゃうよ~)』
マイケロ-『逃げろ~!!!(殺される~)』
バランチュ-『わぁーーーー!!外にはネコが待ち伏せしてる~!しかも3匹もいるよ!』
マイケロ-『もうダメだ、ヘビに食べられちゃうよ!』
ヘビ-『ガハハハハ。ネコに食べられるか、それとも俺様の胃袋に入るのか、さあ、どっちを選ぶ?』
バランチュ-『(どっちも嫌だよ~)』
マイケロ-『(怖いよ~)』
ヘビ-『まずはネズミから食ってしまおうか・・・ブヒヒヒヒ。』
バランチュ-『わぁーーーーー!』
・・・・・
ヘビの奥さん-『あなた、何をしているの?』
ヘビ-『ちょうど、いい所に来たな。ネズミとカエルが俺様に食べられたくて、ここに来たんだ。バカな奴らだよ。』
ヘビの奥さん-『そんな事してる場合じゃないのよ。子供がまた熱を出して苦しんでいるのよ。』
ヘビ-『またか・・・、可愛そうな子だ。1か月以上も寝たきりだもんな、替わってやれるもんなら替わってやりたいよ、ウッウッウッ・・・。』
バランチュ-『薬をのめば熱は下がると思うよ。』
ヘビ-『薬?』
バランチュ-『そうだよ。街に行けば売ってるはずだよ。』
ヘビ-『本当か!嘘じゃないだろうな!よし、今すぐ出発だ!』
ヘビの奥さん-『ところであなた、薬を売ってる場所を知ってるの?』
ヘビ-『知らん!街になんか行ったことがないからな。』
ヘビの奥さん-『じゃあ、行ってもダメじゃないの。』
ヘビ-『そうだな・・・、でもあの子を何とか助けてあげたい。』
マイケロ-『僕達が薬を買ってきてあげるよ。』
ヘビの奥さん-『ぜひ頼むわ。息子をなんとか助けてちょうだい!』
ヘビ-『ダメだ、ダメだ。こいつらを信用するわけにはいかない。ここを出たら、薬なんか買いに行かず、絶対逃げるに決まってる!』
ヘビの奥さん-『でもいいじゃない。私達は食べ物に困ってるわけじゃないんだし。息子がこのまま死んでいくのをだまって見ているより、助かる見込みがあるのなら、それに賭けてみましょうよ。』
ヘビ-『しかたがないな、お前がそこまで言うんなら・・・。』
マイケロの家
マイケロ-『いや~、さっきは死ぬかと思ったね。』
バランチュ-『本当だよ、あんな恐い生き物見るのは初めてだよ。』
マイケロ-『さあ、またブドウを食べに出かけようか。』
バランチュ-『なんだかもう、果物ばっかりで飽きちゃったな。あぁ~、ケーキが食べたいな~~~!!!それより、薬はどうしようか。』
マイケロ-『街まで出かけて薬を買いに行くなんて、とんでもない話だよ!』
バランチュ-『でも、マイケロはさっき、薬を買いに行くってヘビと約束したよね。』
マイケロ-『冗談だよ!逃げる為の口実に決まってるじゃないか!街まで出かけても、どうせ僕達は途中で、他の生き物に食べられて終わりだよ。気にすることないよ、バランチュ。』
バランチュ-『そうだね。でもケーキが食べたいな~。』
マイケロ-『また、それかいな・・・。』
バランチュ-『だって、飴玉や果物やチーズばかり食べても、飽きるしね。』
マイケロ-『じゃあ、ケーキを探しに出かけようよ!』
バランチュ-『う~ん・・・。でも、何処にあるのか、さっぱりわからないんだ。僕ね、自慢じゃないけど、鼻には自信があるんだけどね。』
マイケロ-『あのグルメ雑誌には、何処にケーキがあるのか書いてなかったのかい?』
バランチュ-『街に行けば、あるみたいなんだけどね。』
マイケロ-『街か~・・・、そりゃあ、残念だ。』
バランチュ-『マイケロが悔しがることないだろう。』
マイケロ-『実はね、あのグルメ雑誌に載っていた、【行列のできるラーメン店】のラーメンが食べてみたくてね・・・。それにチャーシューも美味しそうだったし・・・。』
バランチュ-『(あの時、しっかり見てたのね)、でも【ケーキが食べたい】って願っているのに、どうして思考が現実化しないんだろう。あの本に書いてあることは、嘘だったのかもしれないな・・・。今日は疲れたから、もう帰るよ。』
マイケロ-『じゃあ、気をつけてね。』
バランチュ-『大丈夫なんだ~。緑色のマントと、灰色のマントを用意してあるんだよ~。草の上を走る時は緑色のマントなのだ~!!・・・そしてコンクリートの上を走る時は灰色のマントなのだ~・・・。』
マイケロ-『ヒラヒラして、余計に目立つかもしんないよ。』
バランチュ-『マイケロと同じ芸を修得したのだ~。』
マイケロ-『(ちなみに、僕のは芸じゃないよ)。』
バランチュの家
バランチュ-『ない!ない!ない!僕のおやつがぜ~~んぶ、な~い!!!誰がこんなことをしたんだ?せっかく苦労して集めたのに~!ウェ~~~ン、ウェ~~~ン。もう、死にたい気分だ。僕の宝物はどこに・・・、いったんだろう・・・。』
4.同じ苦労をするなら、チーズよりケーキの方がいい?
バランチュ-『うぇ~~ん、うぇ~~ん。』
仙人(小屋の主)-『いつまでも、泣いてたってしょうがないじゃろう。』
バランチュ-『だって、あれだけの食料を集めるのに随分と苦労したんだよ!』
マイケロ-『また、集めればいいじゃないか。僕のイチゴも分けてあげるからさ。』
バランチュ-『うん・・・。』
仙人-『いい友達がいて、幸せだな。』
バランチュ-『じゃあ、また一から集めるか!』
仙人-『一から集める?』
バランチュ-『うん、そうだよ。また頑張るさ!』
仙人-『同じ事を繰り返すつもりなのか。』
バランチュ-『どういう意味なの?』
仙人-『宝物(食料)を失ったんだろう?』
バランチュ-『そうだよ。だからまた集めるんだよ。』
仙人-『それじゃと、苦労しても元の状態に戻るだけじゃな。』
マイケロ-『仙人は何が言いたいの?』
仙人-『失った・・・って事は、その失ったものは必要じゃないって事だよ。』
バランチュ-『え~!そんなバカな!チーズにせんべいに飴玉はぜ~んぶ、僕にとっては宝物同然だよ!』
マイケロ-『仙人はいつも、変なことを言うよね。』
仙人-『それじゃあ、聞くがな。本当は他にもっと食べたいものがあるんじゃないのか?』
バランチュ-『クリームがたっぷりのっている、ショートケーキが食べたい!』
マイケロ-『行列のできるお店で、チャーシュー入りのラーメンが食べたい!』
仙人-『ほ~ら、やっぱり食べたいものがあるんじゃろ。』
バランチュ-『でも~、街まで行かないと・・・。』
仙人-『よく考えてみるのじゃ。いつもチーズやせんべいがあれば、現状に満足してしまうじゃろう。チーズがなくなったら、チーズを探しに行く?そうじゃないだろう。チーズがなくなったら、ケーキを探しに行くのだよ。』
マイケロ-『確かに仙人の言うとおりかもしれないよ。一からチーズを集めるのも、ケーキを探しに出かけるのも、同じ苦労だもんな。』
バランチュ-『そっか~。同じく苦労をするなら、チーズよりもケーキの方がいいに決まってるもんな。』
仙人-『失うっていうのは、それよりももっと大きなものがあることを意味しているのじゃよ。』
バランチュ-『じゃあ、街まで出かけるよ。それに、なんだかワクワクしてきたし。マイケロも一緒に行こう!』
マイケロ-『うん、もちろんだとも。早くラーメンを食べてみたいケロ。』
バランチュ-『じゃあ、早速出発だー!』
仙人-『ところで場所はわかっとるのか?』
バランチュ-『知らない。』
マイケロ-『何処にあるの?』
仙人-『ここより、北の方角に10キロほど行った所じゃよ。山を一つ越えて行かねばならんな。地図を持っていくがいい。』
バランチュ-『財宝探しみたいで、楽しそうだね。』
仙人-『ここがケーキ屋さんじゃ。わかりやすいように印をつけてあげよう。』
バランチュ-『ありがとう。』
マイケロ-『ラーメン屋さんは何処なの?』
仙人-『残念だけど、わしにはわからなんな。・・・おっ、誰かお客さんが来おったかな。』
郵便屋さん-『郵便で~す。』
仙人-『ご苦労さま。また孫からの手紙かな・・・。ところで郵便屋さん、街にある行列のできるラーメン屋さんって知っておるかの。』
郵便屋さん-『知ってますよ。僕も一度食べに行ったことがありますから。まさか、こんな山奥から出て一人で食べにいくわけじゃないでしょうね。』
仙人-『違うよ。ここにおるネズミとカエルが行くのじゃよ。』
郵便屋さん-『ネズミとカエル!!?』
マイケロ-『マイケロで~す。宜しくー。地図に印をつけてくれれば、それでいいよ。』
郵便屋さん-『・・・?仙人さん、このカエル何かケロケロ言ってますけど。』
仙人-『ラーメン屋のある場所を地図に印してくれって言ってるのじゃよ。』
郵便屋さん-『カエルと会話ができるなんて、やっぱり仙人さんは、凄いな~。え~と・・・、確か角にある薬局の隣だったから、ここです。』
仙人-『そうか、ありがとう。ラーメン屋は薬局の隣だそうじゃ。』
バランチュ-『通訳しなくても、大丈夫だよ。郵便屋さんの言ったことは理解できるから。あっ!そうだ、薬を買わなきゃ!』
仙人-『薬がどうかしたのかね。』
バランチュ-『ヘビの子供が熱にうなされて、死にそうなんだ。』
仙人-『そりゃあ大変だ。早く出発した方がいいじゃろう。そうだ、この村のはずれまで郵便屋さんに乗せてってもらったらどうじゃ。』
郵便屋さん-『乗せてってもいいですよ。これから村のはずれまで配達がありますから・・・。でも、ネズミとカエルがラーメンを食べに行くって・・・僕をからかってるんじゃないでしょうね。』
バランチュ-『本当だよ。ちなみに僕はラーメンじゃなくて、ケーキがメインなんだけどね~(ルンルン)。』
マイケロ-『だめだよ、郵便屋さんは僕たちの言葉が理解できないみたいなんだよ。』
バランチュ-『じゃあ、紙に書いてあげればわかるよね。・・・・・。』
郵便屋さん-『え~となになに?(汚い字だな)。僕がネズミのバランチュです。そして隣にいるのがカエルのマイケロです。宜しく~。』
仙人-『じゃあ郵便屋さん、後は頼んだからの。』
郵便屋さん-『はい・・・。それじゃあ、バイクにある後ろのカゴに隠れてくれるかな。それと郵便物が汚れるから、絶対に中でオシッコをしたらダメだからね。僕の言葉が理解できたら、クビを縦に振ってくれるとわかりやすいんだけどね。』
マイケロ-『は~~い、わかりましたー。絶対にオシッコしませ~ん。』
バランチュ-『僕も絶対にしませ~ん。』
郵便屋さん-『それじゃあ、出発しようか。』
2023/02/21