疲れた時に癒される物語 悩みは天からの贈り物4
13.幸せには本物と偽物がある?
マイケロ-『ねえねえ、早く教えてよー!』
青仙人-『ところで、お前達は、これから何処に行くのじゃ?』
マイケロ-『この山を降りて、ヘビさんの家まで薬を届けに行くんだよ。』
青仙人-『ほぉ~、偉いの~。それでわざわざ、街まで行ってきたのか。』
マイケロ-『ううん。本当は別の目的があって、街まで行ったんだけど・・・。でも、この薬を早く届けて、ヘビさんの子供を助けたいんだ。だから、早くバランチュが元気になる薬をちょうだいよ。』
青仙人-『お前達は、優しいんだな。じゃあ、特別にこの薬をあげよう。ただし、元気になることは確かだが、そのかわり3日間しか、生きられないからな。』
マイケロ-『えー!!3日間しか生きられないなら、意味ないよ-!』
青仙人-『細く長く生きるか・・・、太く短く生きるか・・・。どちらかじゃな。』
バランチュ-『じゃあ、その薬をちょうだい。』
マイケロ-『ダメだよ、バランチュ!3日間しか生きられないんだよ!!それに、1ヶ月、6ヶ月生きられる可能性だってあるじゃないか!』
バランチュ-『でも、明日になって死んでしまう可能性だってあるからね。マイケロの気持ちはありがたいけど、僕は確実に薬を届けられる方を選ぶよ。』
マイケロ-『・・・。』
青仙人-『ほんじゃ、決まりじゃな。』
マイケロ-『じゃあ、僕もその薬をちょうだい!』
バランチュ-『ダメだよ、マイケロ。何を言ってるんだよ!マイケロは元気だから、まだ6ヶ月くらいは生きられると思うよ。』
マイケロ-『バランチュがいないんだったら、一人で生きててもつまんないよ!』
青仙人-『二人とも、仲がいいの~。まるで、あのイノシシの兄弟のようだな。』
バランチュ-『僕たちも、イノシシさんの兄弟に会ったよ。イノシシさんの弟は、とても優しかったな~。また、会いたいな~。』
マイケロ-『あっ!そういえば、イノシシさんの弟に【二つ目のリンゴを食べるつもりなのか ?】って言ったんだよね。』
青仙人-『あぁ、言ったとも。イノシシの弟は、二つ目のリンゴを兄に分け与えることで、幸せになったのじゃよ。』
バランチュ-『【二つ目のリンゴを分け与える】って話、なんとなく理解できるようになったよ。』
マイケロ-『どういうことなの~、教えて~!』
バランチュ-『あのね~、イノシシさんの弟が二つ目のリンゴも食べてしまえば、その一瞬は幸せになれるかもしれないけど、それは空腹を満たすだけの幸せであって、本物の幸せじゃないと思うんだ。』
マイケロ-『空腹を満たす為の幸せと、本物の幸せがあるの?』
バランチュ-『うん、あのね。ちょっとだけ気がついたんだ。僕たちの念願のケーキが食べられた時は、最高に幸せだったよ。でも・・・、それって、長くは続かないんだよね。食べている瞬間は幸せになれるけど、時間が経つとその幸せはいつの間にか消えていることに気がついたんだ。』
マイケロ-『言われてみれば、確かにあの時の幸せは、消えてしまったね。』
バランチュ-『でもね・・・、イノシシさんと過ごした幸せな時間は、今でも僕の心の中を幸せな気持ちにしてくれているんだ。』
マイケロ-『言われてみれば、そうかも~。』
青仙人-『なかなか良いことに気がついたのぉ。人は皆、一瞬の幸せや快楽を求めてさまよい続けている。
快楽を本物の幸せと勘違いしておるのじゃ。
さて、そろそろ、行くといい・・・、時間がないぞ。』
マイケロ-『時間がないって、どういうことなの?バランチュの寿命が近づいているって事?』
青仙人-『そうじゃない、早くヘビに薬を届けるのじゃ。』
マイケロ-『あっそうか、早く届けなきゃ!』
青仙人-『さてと・・・、これが3日間元気に生きられる薬じゃよ。さあ、どうするかね?』
バランチュ-『・・・(ガーン!死を宣告された気持ちだな)。』
マイケロ-『・・・(えっ?本当にその薬飲んじゃうの!)。』
バランチュ-『ありがとう、青仙人さん。』
マイケロ-『ねえねえ、バランチュ~。その薬を飲んだら、あと、3日間しか生きられないんだよ。本当にそれでいいの?』
バランチュ-『ありがとう、マイケロ!なんか知らないけど、ヘビの子供へ確実に薬を届けるのが、僕の最後の仕事のような気がするんだ。だから・・・。』
マイケロ-『(え!本当に、の、飲んじゃうの~?)』
その頃
ヘビの奥さん-『あなた、大変よ!』
ヘビ-『どうしたんだ?』
ヘビの奥さん-『息子の意識が、もうろうとしているのよ!』
ヘビ-『そうかぁ・・・。』
ヘビの子供-『うぅ、もうダメかもしれないよ・・・。』
ヘビの奥さん-『元気出すのよ!もう少しで薬が届くから、あとちょっとの辛抱だからね』
ヘビ-『それは無理だな!あれからもう、何日も経っているのに、街から戻ってこれるわけがないだろう!』
ヘビの奥さん-『ダメよ、そんな事言っちゃ!息子に希望を持たせてあげなきゃ!』
ヘビ-『それもそうだな・・・。もう少しの辛抱だから、頑張るんだぞ!』
ヘビの奥さん-『ネズミとカエルは必ず薬を持ってきてくれるわ!だから、頑張るのよ!』
ヘビの子供-『うん、信じてまってるよ(ハァー、ハァー、苦しいよ~)。』
ヘビ-『よし!俺も出発だ!これから、ネズミとカエルを迎えに行ってくる!』
ヘビの奥さん-『何を言ってるのよ!道もわからないのに、どうやって、街まで行くつもりなの?』
ヘビ-『街まで行くつもりはないぞ。山まで迎えに行ってくるのだ!』
ヘビの奥さん-『でも、街まで行ったという保障もないし、どこかで他の動物に食べられてしまっているのかもしれないのよ。』
ヘビ-『ネズミとカエルが、必ず薬を持ってきてくれるって、さっきお前が言ったばかりじゃないか』
ヘビの奥さん-『そう、そうよね・・・。』
ヘビ-『俺の事は心配いらん、必ず戻ってくる。それまでは、息子のことを頼んだぞ!』
ヘビの奥さん-『わかったわ。』
14.宝物が欲しかったら、リスクを経験しろ
マイケロ-『あとは、山を下るだけだから、楽だよね。』
バランチュ-『本当だね~。』
マイケロ-『かなり歩いたから、そろそろ、休憩しようか。』
バランチュ-『うん。イノシシさんからもらったクッキーがあるから、食べようか。』
マイケロ-『ところで、そのポーチには、他に何が入っているの?(そのポーチお似合いだね、僕も欲しいな~。)』
バランチュ-『え~とね、クッキーでしょ~、それからハムとチーズでしょ~、それとヘビさんの薬でしょ、それから・・・ガーーーン!!』
マイケロ-『ねえ、バランチュ、どうしたの?』
バランチュ-『ポーチの中にお酒が入ってるんだ。』
マイケロ-『え?青仙人さんの所に置いてこなかったの?』
バランチュ-『うん(グスン・・・)、すっかり忘れてたよ。』
マイケロ-『しょうがないよ、もう山の半分まで降りてしまったんだから、ここから引き返すわけにはいかないよ。』
バランチュ-『でも、戻って届けなきゃ!』
マイケロ-『え~!そんな無茶な!お酒なんて、どうだっていいよ、バランチュ!』
バランチュ-『だって、赤仙人さんは、お酒が大好きで、楽しみにして待っているはずだよ。』
マイケロ-『そんなこと言ったって、赤仙人さんは、あの小屋にいなかったじゃないか!僕たちはちゃんと、お酒を持ってきたんだから、小屋にいなかった赤仙人の方が悪いよ。』
バランチュ-『確かに、そうかもしれないけど、イジワルなタヌキから逃げることができたのも、赤仙人さんからもらったお酒のおかげだからね。やっぱり、恩は返さないと・・・。』
マイケロ-『それじゃあ、ヘビさんの薬はどうするんだい?ヘビさんの薬よりも、赤仙人さんのお酒の方が大事だって言うのかい?』
バランチュ-『もちろん、ヘビさんの薬は、一番大事だよ。でも、赤仙人さんとの約束も破るわけにはいかないしね。』
マイケロ-『じゃあ、どうすればいいの?』
バランチュ-『僕は、小屋に戻って、このお酒を赤仙人さんに届けるよ。そして、マイケロはこのまま山を下って、ヘビさんの薬を届けに行く・・・。』
マイケロ-『え?じゃあ、ここで別れるのかい?嫌だよ、寂しいよ~!それに、バランチュだけじゃ、心配だよ。』
バランチュ-『大丈夫だよ、僕は必ず戻ってくるよ!』
マイケロ-『・・・。』
バランチュ-『それじゃあ、ヘビさんの薬は頼んだよ。僕はお酒だけ届ければいいから、このポーチはマイケロにあげるよ(さっき、欲しそうな目で見てたでしょー)。』
マイケロ-『わ、わかったよ・・・。必ず無事、戻ってきてよ!』
バランチュ-『マイケロも、早くヘビさんの所に薬を届けてあげて!』
・・・・・
マイケロ-『あ~あぁ、一人ぼっちかー。寂しいな・・・。クッキーでも食べて、少し休んでから、出発しようかな・・・。あれ?そういえば、ポーチの中には、青仙人さんからもらった、薬が入ってないな。という事は・・・バランチュはあの薬を飲んでしまったんだな~。3日間しか生きられないのに、あの小屋まで戻るなんて・・・(フッー・・・)』
・・・・・
仙人-『元気がないようだな。』
郵便屋さん-『好きな女性にフラれてしまいました(グスン・・・)』
仙人-『そうか、可哀相にな・・・。』
郵便屋さん-『女性にモテる薬があればな~。』
仙人-『そんなもんに頼ってたら、人間がダメになるぞ!』
郵便屋さん-『それじゃあ、その女性を振り向かせる方法ってないですかね。』
仙人-『一つだけ方法がある。』
郵便屋さん-『えー!本当ですか!早く教えて下さいよ!あっ、ちょっと待って下さい(メモとペンを用意しなきゃ!)』
仙人-『あきらめることじゃな。』
郵便屋さん-『それじゃあ、答えになってないですよ、仙人さん!』
仙人-『あきらめることも、願いを叶える為の一つの方法じゃよ。何事も去り際が大事なのじゃよ。』
郵便屋さん-『だって、あの本には、【男は押しが大事】って書いてありましたよ。』
仙人-『何事もバランスが大事なのじゃよ、郵便屋さん。』
郵便屋さん-『バランスって、言われてもな~。』
仙人-『この世は陰陽の世界じゃ。わかるか?』
郵便屋さん-『はい、なんとなく・・・。』
仙人-『”押し”と”引き”が大事なのじゃよ。押してばかりでもいかんし、引いてばかりでもいかんのじゃよ。』
郵便屋さん-『ん~、難しいな~。』
仙人-『断られたにも関わらず、もう一回アタックするのは、いい心がけだよ。でもな、一回”引いて”から、再度アタックしてみるといい。』
郵便屋さん-『なかなか奥が深いんですね~。ところで、”引く”っていうのは、どういう意味なんですか・・・。』
仙人-『熱くなった気持ちを、一回冷やす、という事だよ。ガツガツしてたら嫌われる、焦りが見えると頼りなさそうに見える、緊張すると相手に不安感を与えてしまう・・・。』
郵便屋さん-『なるほど、(メモしなきゃ、え~と、ガツガツしてたら嫌われる・・・次はなんだっけ?)』
仙人-『引く・・・っていうのは、心の中にあるマイナス感情をクリーンにする効果があるんだよ。』
郵便屋さん-『わかりました、少し気持ちを落ち着かせてみます。ところで・・・、あのネズミとカエルは帰ってきましたか?』
仙人-『いや、まだ戻ってこないの~。』
郵便屋さん-『やっぱり、ネズミとカエルが、あの山を越えるのは無理だったんですかね~。ラーメンとケーキに、無事ありつけたかな~。』
仙人-『大丈夫じゃよ。必ず戻ってくるだろう・・・。』
郵便屋さん-『でも、たかだかラーメンとケーキを食べる為に、あの危険な山を越えようとするんだから、根性あるよな~。』
仙人-『郵便屋さんも、たまにはいい事を言うじゃないか!』
郵便屋さん-『え?僕が今、何かいい事言いました?』
仙人-『宝物が欲しかったら、リスクを経験しろって事だよ。』
郵便屋さん-『(メモしなきゃ、え~と、宝物が欲しかったら、リスクを経験しろ!・・・と。恋愛で応用する為には、どうしたらいいんだろう?そうだ!!空からパラシュートで降りてラブレターを渡せば、めちゃくちゃ、リスクがあるぞ!仙人さんが言っているのは、きっとこういう事だろう・・・。為になるな~!ムフフ、、、)』
仙人-『何をブツブツ言ってるんじゃ。もう日が暮れるぞ。』
・・・・・
マイケロ-『疲れた~!やっと、山を降りることができたケロ!ヘビさんの家までは、そう遠くはないはずだな。早く、薬を届けなきゃ!』
15.あと、もう1歩のところで薬が・・・
バランチュ-『やっと、小屋に着いた~~。・・・誰かいますか~、赤仙人さ~ん!』
・・・・・
赤仙人-『よく、来たの~。』
バランチュ-『あっ、赤仙人さん!お酒を、持ってきましたよ!』
赤仙人-『一度ここに、寄ってくれたらしいの。留守ですまんかった。』
バランチュ-『でもね、青仙人さんっていうお爺ちゃんがいましたよ。』
赤仙人-『そうか。』
バランチュ-『知り合いなの?』
赤仙人-『わしの弟じゃよ。』
バランチュ-『へぇ~、赤仙人さんにも兄弟がいたんだ。』
赤仙人-『まぁ、一杯ついでくれんかの~。』
バランチュ-『あっ、はい!』
赤仙人-『ところで、ケーキとラーメンは食べることができたのか?』
バランチュ-『すんごい、美味しかったよ!願いが叶ったから、後はヘビさんの薬を届けて、僕の人生は終わりって所かな。でも、そろそろマイケロが届けてくれている頃かもな~。』
赤仙人-『ヒック、、、まだまだ元気そうだから、あと1年くらいは生きられるだろう。』
バランチュ-『でもね、今、僕が元気なのは、青仙人さんからもらった薬のおかげなんだ。そして、僕の命は、今日を入れて3日しかないんだよ。』
赤仙人-『薬を飲んでしまったのか?、ヒック』
バランチュ-『うん、飲んだよ。もう悔いはないし、全然悲しくはないよ。』
赤仙人-『ヒック、、、でも、まだやる事が残ってるじゃろう。』
バランチュ-『ヘビの薬は、マイケロが届けてくれるし、それに僕もこれからヘビさんのところに会いに行くからね。』
赤仙人-『そういう事を言ってるんじゃない。』
バランチュ-『え?』
赤仙人-『残り2日しか、ないのだろ!』
バランチュ-『うん・・・。』
赤仙人-『このまま死んでいくつもりなのか?』
バランチュ-『そんな事言われても・・・。どうすることもできないし。』
・・・・・
猫-『ここまで、追いかけてこいよ、ヘボガエル!!!』
マイケロ-『待てよ!そのポーチには、大事な薬が入ってるんだよ!』
猫-『薬なんか知らねえよ!俺は食べ物さえ、ありつければいいんだよ!』
マイケロ-『じゃあ、薬だけ返してくれよ!』
猫-『嫌だね!ポイッッ!!!』
マイケロ-『あ~あ、ドブに投げて・・・、(ガチャーン)、ヘビさんに届けるビン(薬)が割れちゃったじゃないか・・・。(どうしよう・・・)』
郵便屋さん-『ルンルンルンルン、ルルルルルーン。今日は空からパラシュートで降りて、彼女にラブレターを渡すぞ!』
マイケロ-『あっ!郵便屋さん!!』
郵便屋さん-『ん?何か声が聞こえたぞ。』
マイケロ-『ここだよ、郵便屋さん!ここ!ここだよ!!』
郵便屋さん-『あれ~、ひょっとして君は街まで出かけていった、カエル君じゃないのかい?』
マイケロ-『そうだよ!』
郵便屋さん-『へぇ~、無事戻ってこられたんだね。そりゃあ、仙人さんも喜ぶわ!』
マイケロ-『でもね、今は喜んでもいられないんだ!ヘビさんの薬が・・・。薬が・・・。』
郵便屋さん-『薬がどうしたんだい?』
マイケロ-『あともう少しで、ヘビさんの家に辿り着くところだったのに・・・。薬の入ったポーチを猫にとられてしまって・・・グスン。薬はドブの中・・・。』
郵便屋さん-『そりゃあ大変だ!せっかく薬を持ってきたのに、残念だな~。』
マイケロ-『また、街まで戻らないと・・・。』
郵便屋さん-『いや、ちょっと待てよ。仙人さんに相談してみたらどうだい?仙人さんの所まで、連れて行ってあげるよ。』
マイケロ-『うん・・・。』
・・・・・
仙人-『久しぶりじゃのう、よく無事に戻ってこられたの~。』
マイケロ-『あっ、仙人さん!あのね、薬が・・・。ヘビさんの薬がドブに捨てられちゃったよ~、ウェ~ン!』
仙人-『なくなったものは、しょうがない。全てに意味があるのだから、落ち込まなくてもいい。それに、よくここまで頑張って持ってきたじゃないか。』
マイケロ-『でも、ヘビさんに薬を渡す事ができなかったら、戻ってきた意味がないよ。それに、ずっとずっと薬が届くのを楽しみにしていたはずなのに。』
仙人-『ヘビの所には、顔を出したのか?』
マイケロ-『まだだよ。だって、ヘビさんの家の前で、あの意地悪ネコに薬を持っていかれたんだ。』
仙人-『一度、行った方がいいだろう。戻ってきたという事だけでも、知らせておいた方がいい。』
・・・・・
ヘビの奥さん-『戻ってきたのね!街から戻ってこれるなんて、凄いことだわ!』
マイケロ-『う、うん。』
ヘビの奥さん-『きっと、息子は大喜びするわよ!ヘビ夫ちゃ~ん、薬が届いたわよ~!!』
ヘビの子供-『え!ママ、本当なの!!あのネズミとカエルが、僕の為に、薬を持ってきてくれたんだね!』
マイケロ-『あ、あの・・・。(ここに来るんじゃなかった、なんて言い訳すればいいんだろう。今さら、薬はないなんて、そんな事言える雰囲気じゃないよな~、参ったな~ケロン。)』
ヘビの子供-『ありがとう、カエルさん!!僕、とっても嬉しいよ、なんか急に元気が出てきたみたいだよ!』
マイケロ-『それは、良かったケロ!』
ヘビの奥さん-『早く、薬を飲ませなきゃ!』
マイケロ-『あ、あの・・・。僕は薬を持ってないんだ。僕の友達のネズミが持ってきてくれる事になってるんだよ!だから、あともう少しで、ここに来るはずだから、もう少し待っててね。』
ヘビの奥さん-『そ、そうなの・・・。』
・・・・・
仙人-『ところで、その格好は何だ??』
郵便屋さん-『空からパラシュートで降りて、ラブレターを渡すんですよ。だって、この間仙人さんは、リスクを経験しろ!って言いましたよね。さすが、仙人さんのアドバイスだなって思いましたよ。これできっと、彼女も大喜びでしょう!(ルンルン!)』
仙人-『・・・・・(好きにするといいわ・・・)』
16.空から人が飛んできた!
ヘビの奥さん-『ネズミさん、遅いわね~。』
マイケロ-『今日は無理かもしれないけど、あと2日もあれば来ると思うよ。』
ヘビの子供-『僕は信じて待ってるよ。だって、もうそこまで来ているような感じがするし・・・。』
マイケロ-『(あ~あ、憂鬱~。仮にバランチュが戻ってきたとしても、薬を持ってないんじゃ話しにならないよな~、ふっー・・・。)』
ヘビの奥さん-『あっそうそう、うちの主人に会わなかった?』
マイケロ-『え?会わなかったけど・・・。』
ヘビの奥さん-『ネズミさんとカエルさんを迎えに行くって、一人で山へ出かけたのよ。』
マイケロ-『僕達のこと、心配してくれてたんだ・・・。』
・・・・・
ヘビ-『お前は、ひょっとして・・・。』
バランチュ-『あっ、ヘビさんだね!』
ヘビ-『よく、無事に戻ってきたな~!待ちきれなくて、ついつい迎えに来てしまったよ。』
バランチュ-『迎えに来てくれるなんて、とても嬉しいです!』
ヘビ-『いや~、ご苦労、ご苦労。ところで、薬は・・・。』
バランチュ-『薬なら心配いらないよ。カエルのマイケロが先に行って、もう届けている頃だから。』
ヘビ-『そっかー!それは良かった!いやー、安心したよ!』
バランチュ-『ところで、マイケロには途中で会わなかったの?』
ヘビ-『全く、気がつかなかったけどな~。』
バランチュ-『ふ~ん。』
ヘビ-『それじゃあ、戻ろうか。今夜はうちに泊まって、たらふくご馳走を食べていくといい!』
バランチュ-『うん!』
熊-『ブヒヒヒッ!久しぶりだなー!!食っちまうゾー!!』
バランチュ-『あーー、クマだー!』
熊-『あの時は、随分とお世話になったな!今日は借りを返してやる!』
ヘビ-『そこをどけよ!俺は、毒ヘビだぞ!』
熊-『毒ヘビだぞ?って、誰に口を聞いてんじゃい!!コラァーー!!!』
ヘビ-『ウッ・・・。』
熊-『ガハハハハ!俺様に逆らうから、こうなるんだ!ヘビの一つや二つ、踏みつぶぜは、どうってことないわ!』
バランチュ-『あ、ヘビさんが・・・。』
ヘビ-『薬が来たんだから・・・、もう死んでも・・・、悔いは・・・、ない・・・。』
バランチュ-『ヘビさん、ヘビさん!死なないでよー!』
熊-『次は、お前の番だ!!!美味そうだなーー、ブヒヒヒ。』
郵便屋さん-『ワァーーー、そこ、どいてどいてー!!ぶつかっちゃうよー!!』
熊-『ん?人の叫び声がするぞ・・・。(後ろを振り向いて・・・)誰もいないようだな、気のせいかな。』
バランチュ-『クマさん、上を見てみなよ。』
熊-『なんだ!空から人が!!あっ、あっ、ぶつかるよ!!』
ドッカーン!!!!!
・・・・・
郵便屋さん-『いや~、参ったよ!まさか、こんな所に降りてくるとは、思わなかった。やっぱり、風の計算もしないとダメだな。フッー・・・。でも、空を飛ぶって、凄い気持ち良かったな。次は絶対に成功させるぞ!』
バランチュ-『ねぇねぇ、郵便屋さんでしょ。』
郵便屋さん-『ん?なんか声が聞こえたぞ。』
バランチュ-『ここだよ、郵便屋さん。』
郵便屋さん-『あれ?君はネズミ君じゃないか。』
バランチュ-『ありがとう、郵便屋さん!今、クマに食べられそうになったんだよ。』
郵便屋さん-『クマ?』
バランチュ-『ここでクマが、横になっているでしょ。郵便屋さんの空中蹴りで、どうやら気絶したみたいだよ。』
郵便屋さん-『ちょうどいいタイミングだったようだね。』
バランチュ-『でもね・・・。ヘビさんがクマに踏みつぶされて死んじゃった・・・。』
郵便屋さん-『ヘビって・・・。熱にうなされている子供のお父さんかい?』
バランチュ-『そうだよ。』
郵便屋さん-『そりゃあ可哀相にな~。子供が元気になる姿を見届けたかったろうに。』
バランチュ-『でも、今頃マイケロが薬を届けて、子供は元気になっているはずだよ!』
郵便屋さん-『そういえば・・・。カエル君に会ったけど・・・。ネコに邪魔をされて、薬はドブに捨てられてしまったようだよ。』
バランチュ-『えーーー!!!そんなバカな!!!じゃあ、薬はまだ、ヘビさんの子供に届いてないんだね!ショックーーー!!!どうしよう??』
郵便屋さん-『困ったね・・・。』
・・・・・
仙人-『どうやら、また失ったようじゃな。』
バランチュ-『・・・せっかく、ここまで戻ることができたのに。(グスン・・・)』
仙人-『でも、よく頑張ったじゃないか!』
バランチュ-『ヘビさんの子供を助けることができなかったら・・・、頑張っても結局は意味がないと思う。それにヘビのお父さんまで、死んじゃったし・・・。』
仙人-『あのな・・・、』
バランチュ-『・・・。』
仙人-『薬を失ったのじゃろ。』
バランチュ-『そうだよ。』
仙人-『じゃあ、探しに出かければよかろう。』
バランチュ-『えー!!!また、山を越えて街まで行くの?』
仙人-『そうじゃない・・・、きっと、近くにあるはずじゃよ。それに奇跡が起こる可能性だってあるしな・・・。』
・・・・・
バランチュ-『近くにあるって言っても・・・。超能力者じゃあるまいし、わかるわけないよなー。あれっ、あんな所に・・・。』
2023/02/21